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六十三日目 論文メモ

Dev. Cell 16, 734-743 (2009).骨と骨とをつなぐ関節 (joint) の正常な発生には,筋収縮が必要だということと,その分子機構について.Embryoは,motor axonとmuscle cellが連結するや否や,もぞもぞと動き始める.ニワトリの有精卵を温めて5日目くらいで卵を開ければ,すでに動きはじめている胚が見られるだろう.このもぞもぞ動くことが関節が正しくできるのに重要であるということは100年以上前から指摘されてきた.しかしその証明とメカニズムの解明はまだだった.本論文は,筋肉はできるけど動かない(paralyzed)変異マウスを使い,関節形成に与える影響を見たもの.本来,骨をつくる軟骨から,関節になる領域のみ軟骨プログラムは失われ,代わりにWnt/b-catenin, Gdf5などを介して関節プログラムが発動するのだが,マヒマウスではWntが動かずに軟骨プログラムがそのままとなり,すべてが軟骨になってしまう.ただしマヒマウスでも全ての関節がおかしくなるわけではないことに注意.
by LIBlog | 2009-05-19 16:12 | さいえんす関連
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