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199日目 ぷよm@s第二部までを振り返る 美希と千早編その1

遅まきながらプラネット☆ラヴの超弩級の面白さに気づいて,いま介党鱈Pが私の中で熱い.
そんなわけで,この機会に,書きかけだったぷよm@sシリーズの感想記事を一気に書いてみる.といってもまだ途中だけど….

【アイドルマスター】ぷよm@s part1【ぷよぷよ】
マイリスト ぷよm@s‐ニコニコ動画(ββ)

【アイドルマスター】ぷよm@s part1【ぷよぷよ】

昨日も書いたが,私にとって プラネット☆ラヴ と ぷよm@s の一番の魅力は共通している.
それは何かというとキャラクター.
私にとっては,キャラクターのすばらしさが両シリーズの魅力のコアにあって,その周辺に構成とか演出とかその他諸々の魅力がある,ように思える.
両シリーズとも,ずば抜けたキャラクターが複数いて,その魅力たるや,もうとんでもないものがある.

私は,介党鱈Pの描くずば抜けた天才が好きでたまらない.彼女らは本当に魅力的で,すばらしくて,本気で惚れ込む.
そこで,本記事ではキャラクターの魅力を中心にして,ぷよm@sシリーズ第二部までを振り返ってみたい.

ネタバレにつき格納します.




ぷよm@sシリーズで,私の心をとらえて離さないキャラクターといえば,美希千早のふたりだ.
以前の記事でも書いたことがあるけど,
美希になりたい.
千早みたいに頑張りたい.

冗談やたとえ話ではなく,私はよくそんなことを考えたり妄想したりする.
なぜ美希や千早なのか?どこらへんがすばらしいのか?
この記事では,そういうことを書きたいと思う.

昨日も書いたとおり,ぷよm@s第一部,第二部は,一言でまとめると,
「突出した人物に,他の人物が心を動かされて,行動に駆り立てられてしまう」
ということを描いた物語である.これが私のぷよm@sの捉え方だ.
この印象は,最初に感想を書いたときからまったく変わっていない.
今までのぷよm@sシリーズは,第一部主人公の美希,第二部主人公の千早が,ものすごい勢いでぷよぷよが強くなるところを描いた物語なのだ.
そして,その様子,その過程を目の当たりにして,まわりのキャラクターたちが心を動かされる.それが第二部の終わり方である.
そして周りのキャラクターだけでなく,これはもう第一部からずっとそうだったけれど,私の心もぐらんぐらんに揺り動かされていた.私自身はぷよぷよをやらないけれど,そんなことは関係ない.突出した人物の凄みというのは,どんなことでも共通しているのだから.

さて,以下ではもう少し具体的に,
●美希と千早がどのようにぷよぷよが強くなり,
●どのように周りのキャラクターたちを動かしていったのか,
を振り返ってみたい.

ぷよぷよが強くなるには,それもものすごい勢いで強くなるには,どんなことが必要だろうか.
練習?それももちろんある.他にも,見取り能力,研究,強い人のアドバイスをもらう….
どれもこれも大事なことだ.しかし,ほかの何よりも大事なものがある.

それが「強い動機」.ぷよぷよをプレイするモチベーションを持つことだ.
逆に言うと,動機さえあれば他のすべてはついてくるはずだ.
美希と千早は何が突出しているのかというと,動機が突出しているのだ.
動機が突出しているために,練習も見取り能力もなにもかもがついてきて,結果ものすごい勢いで成長していくのである.
「動機」があって,はじめて「成長」がある

ぷよm@sにおいて突出している美希と千早.
これは実にうまい構成になっていると思うが,「動機」についても,「成長」についても,美希と千早の二人は非常にきれいに対照的だ.
まるでコインの表と裏である.
どう対照的なのか.まずは動機面から書いてみたい.

<「動機」について>

ぷよぷよをプレイする,ぷよる動機としてまず思い浮かぶのは,ぷよぷよの楽しさだ.ぷよぷよは仕事ではなくゲームなのだから,それ自体が楽しい.つーか,そうでなきゃゲームとして成り立たない.
でも,ゲームそれ自体に興味がなくても,ぷよm@sでは,ぷよぷよに対する動機が与えられている.
それが765事務所内ぷよぷよランキングだ.

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この設定により,ぷよm@sでは,二つの異なる動機が描かれる.
ひとつは,ぷよぷよそれ自体の面白さ.すなわち「楽しむこと」
もうひとつは,ランキングを勝ち上がり小鳥さんを破ること.すなわち「勝つこと」

ただ,ぷよぷよを楽しむことと勝つことはほとんど同じことなのだから,この二つははっきり違うわけではなく,ほぼ重なりあっている.そして,キャラクターごとに,ぷよぷよをプレイする動機の力点が「楽しむこと」または「勝つこと」のどちらにどのくらい置かれるかが違ってくる.
キャラクターごとに微妙に異なる,「楽しむこと」「勝つこと」のバランス.美希と千早はその両極端にいるのだ.

美希は,ぷよぷよ自体にとてつもない楽しさを見出している.そのために,途中からランキングを上げることや,小鳥さんのアイドルデビューは眼中になくなってしまう.言いだしっぺであるにも関わらず.

「千早さんがもし勝ったら……事務所のぷよぷよバトル、終わっちゃう?」
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「どうして負けて楽しそうにしてるのよ、この子!」という場面もあったなあ.あれも象徴的だ.

いっぽう千早は,小鳥さんをアイドルデビューさせることが目的なのだから,そうすることができるならば,ぷよぷよでなくたって構わない.

『(でも……もし律子さんが音無さんを倒せるならそれはそれでいい)』
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このような場面は何度か出てくる.
じつのところ,千早の動機のありかたはpart14の最後に「いい表情でぷよる」ようになっても変わってはいないように私には思える.

つまり,美希はぷよぷよ戦それ自体を目的にしている.だからぷよぷよ戦の結果には無頓着だ.
千早はぷよぷよ戦の結果を目的にしている.だからぷよぷよそれ自体には無頓着だ.

美希と千早は,両極端の動機を持ち,しかもそれがものすごく強い.
さらに,その動機を持ってからpart14まで,動機の方向も強さもいっさい揺らぐことがない.
もうこの動機の持ち方からしてとんでもなくて,私としては心ざわめく.
なんでこんな常軌を逸して強い動機を持てるんだろうか?

美希に関しては,天才だからだよなー,としか言いようがない.美希は常人には見えないものが見えてる.
そりゃ,そんなものが見えちゃあねえ.しかたないよ.人一倍強くぷよぷよにハマるのは.

おじゃまぷよの計算をちょっと聞いた直後にコレだもの.これ対戦中の思考だよ?
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信じられない.もうカッコ良すぎ.こんな人がいたら本気で惚れる.

しかし千早はあくまで,ぶっとんだものが見えてるわけではない.
だから,ずば抜けた強さの動機を持っていることには別の理由がある.
それはぷよm@s自体では語られないが,この作品が二次創作であるためメイン視聴者には共有されていること.すなわち千早の置かれている環境.
私は,ふつうとは順序が逆で「なんで千早はこんなに頑張れるの?」という疑問を最初にぷよm@sで持って,それからこのシリーズを見て納得した.
マイリスト やすらぎの旋律‐ニコニコ動画(9)

これを知って感動しないわけにはいかないだろう.これを知るとホントに第二部が面白いというか,感動の度合いが違ってくる.
いや,彼女は生来まじめで努力家なんだと思うよ.でも,天才なわけじゃない.
そういう人に対して,あまりに突出した,悪く言えば狂気を帯びるほどに強い動機はどこから来るのか?といえば…暗い部分からしか生じないと思うんだよね.
千早の背景に,やっぱりそういうものがあったんだ…,と思うと,胸が熱くなる.

<「成長」について>
さて次に,高いモチベーションに支えられたふたりの「成長」について.
ここでも美希と千早は非常に対照的だ.
どう対照的か.これについてすごく的確に言い当てているコメントがあった.

「教えられたことを実現する千早は秀才だな。新連鎖デスタワーを編み出した美希は本物の天才!」
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これはまさしくその通りだと思う.

美希のデスタワーは,すべてが美希独自.オリジナリティ100%.
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プロデューサーや小鳥さんといった,ラスボス級の実力を持つ者たちも,デスタワーの組み方を教えることはできない.
なぜなら彼らの手には負えない,天才にしか使いこなせない連鎖法だからだ.

「まさに理解を絶している…」
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いっぽう,千早の究極連鎖法はというと,千早自身による独自性はいっさいない.…たぶん.私はぷよぷよ戦解析ができないので予想するしかないが,おそらくオリジナリティという意味では0%に近いのではないか.千早の連鎖はすべて,教えられた技なのだ.すなわち,物語のどこかに伏線がある.

伏線→回収の例として,「究極連鎖法ならば連鎖を後ろに伸ばせる」という教えを活かす場面.
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伏線→回収の例,その2.流れを一気に引き寄せた,基本形以外の形からの四連鎖ダブル.すっげえよなー.
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ぷよm@sシリーズは,伏線の張り方がさりげなくてすばらしいという意見をよく見るし,私もそのように書いたことがある.しかし,こと千早に関しては,単に作劇がうまいというだけの話ではない.すべての戦い方に伏線があるというのは,おそらく千早というキャラクターの表現そのものなのだ.千早は,伏線を必要とするキャラクターなのである.
だからこそ,千早の練習風景は,これでもかこれでもかと第二部すべてにわたって描かれるのだ.

これは練習風景が(ぷよぷよ画面として)ほとんど登場せず,それゆえにぷよぷよ戦の伏線が張られず,常にサプライズを呼ぶ美希の戦い方と対をなしている.

これが,引用させていただいたコメント,「千早は秀才,美希は天才」の本当の意味だろうと思う.
美希に対しては,我々の手には届かない所にいるなあ,と思わされてしまうのに対して,千早は我々の側の究極の姿だと思わせてくれる理由がそこにある.

ところが.ところがだ.
美希との戦いを経たあとの小鳥さんとの決戦では,千早はとうとう美希と同じように凡人の手の届かない所に行ってしまっているように私は感じた.
なぜかというと,ちょっと大げさな言い方をすれば,オリジナリティが無いということをほんとうにつきつめていった結果,自分を捨ててしまえているように,私には思えるからだ.

『(私はただ、プロデューサーの教えどおりに
動くことだけ考えればいい……!)』
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これは文句なしにすごい.単に,「人を信頼して心を開くことが難しかったキャラクターが,人を信頼できるようになった」というだけの話にとどまらないのではないか.
むしろこれは無我の境地のようなトップアスリートの発想だろう.やはりモンスター級のモチベーションに駆動された人は,ものすごいところに行ってしまうんだなあ.

美希との対比で考えてみると,おそらく,
●美希は他人を捨ててしまえる.
●千早は自分を捨ててしまえる.
ということなのだろうと思う.
そう言いきってしまうと誤解を招くだろうと思うけれど,日常の場面じゃなくてぷよぷよに限っていえば,私にはそうとしか思えない.

成長の果てに辿り着けるところとは,こんなにも凄いものなのだ.
ここまで来た二人を見て,心が震えないはずがないだろう!
この二人は凄い.本当に凄い.

….

ちょっと長くなりすぎたので,いったん切ることにする.

ここまでの話をまとめよう.
動機のありかたと成長のしかた,その両面において,美希と千早はきれいに対をなす存在だ.

●動機については,美希はぷよぷよ自体に,千早はぷよぷよの結果に置かれている.
●成長については,美希は徹頭徹尾オリジナル,千早は師匠の教えを常に守るタイプ.

動機についても成長についても,美希は天才型,千早は秀才型として描かれていることがわかる.
そしてその天才度合いと秀才度合いはハンパじゃない.
美希はデスタワーを,ただオリジナルなだけではなく,美希が使えば誰よりも強い連鎖法にまで磨き上げてしまう.
千早は千早で,究極連鎖法は習ったそのままだけれど,教えた師匠の予想をはるかに超えて上達していくのだから.

この二人のものすごい成長を見て,周囲のキャラクターと視聴者は,心をわしづかみにされ,ぐらぐらと揺り動かされることになる.

次の記事では,この二人が周囲にどういう影響を与えたのかについて,具体的に書いていきたい.

by LIBlog | 2009-11-25 22:18 | 動画サイト関連
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