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249日目 雑誌メモ

細胞工学2月号の特集はRNAプロセシング異常についてのもので,これが非常に興味深い内容だった.

ゲノムDNAから転写されたRNAは,本来の機能を果たす前にさまざまなプロセシングを受ける.mRNAだったらキャッピングとかポリアデニル化とかスプライシングとか.rRNAもtRNAも修飾を受けるという点では例外ではない.この過程の異常が原因で起こるとされている病気は非常にたくさんある.

少しだけ例を挙げると,mRNAのスプライシングが原因である疾患に,脊髄性筋萎縮症脆弱X症候群,ある種の筋ジストロフィー筋萎縮性側索硬化症などなどがある (ここで挙げた疾患のすべての原因がスプライシングというわけではない.類似した病態の原因が単一のものでないことはごく普通である).またRNAエディティングが原因とされる疾患として,ある種のガンやミトコンドリア脳筋症などなどが知られている.
これらの他にも,たくさんのRNAプロセシング異常が原因で起こる疾患が存在している.また,多くの原因不明の疾患がRNAプロセシング異常に起因していると考える人もいるようだ.

いまは全ゲノムシークエンスが恐るべき速さで完了できることに象徴されるように,オミックス解析とかシステムバイオロジー的な研究なんかが当たり前のように実行されるようになってきた時代だ.そんな中,つぎのフロンティアは何だ?ってことを想像するに,RNAプロセシングはひとつの有力な候補として考えられるんじゃなかろうか.

by LIBlog | 2010-02-02 20:11 | さいえんす関連
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