264日目 アイマスクエストの「力強さ」

アイマスクエスト,第七章まで観終わった.
ちょうど同じときに総集編のupがあったのは嬉しかった.つづけて二度も感動にひたることができたし.

【閣下列伝】アイマスクエストⅣ <総集編>(未完)

【閣下列伝】アイマスクエストⅣ <総集編>(未完)

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アイマスクエストって何? という方は,こちらの紹介記事がおすすめです.
ニコニコは一般人を芸人にする - 敷居の先住民
アイマスクエストをまだ知らない人のためにその魅力を全力で書き綴ってみた - 未来私考

本編はこちら.
マイリスト アイマスクエストⅣ 閣下列伝シリーズ‐ニコニコ動画(9)

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以下,全体を通して思ったこと.ネタバレのため格納します.




なんというすごい作品なんだろう.

数々の伏線を悟らせない,しかも飽きさせないストーリー展開はみごとなものだし,各章終盤の大回収は……もう,すごいとしか言いようがないなあ.
ておくれPの想像力と物語構築力に,ただただ圧倒させられる.
やはり,アイマスクエストは濃厚で,力強い

濃厚さ,力強さを感じる理由は,物語構築がうまいということだけじゃないと思う.
では,他にどういう理由があるのか?

以前,アイマスクエストの物語は,アイマスとドラクエの物語に乗っかっているんだ,と書いたことがある(こちらの記事).
アイマスクエストの物語の濃さ,強さの理由のひとつとして,やはりこれが挙げられそうだ.

以前書いたときは第二章を例に出したけど,今回は律子さんのエピソード(第七章95話)で,二つの物語に支えられた物語の強さを感じた.
律子さんは事務所メンバー全員を救うために行動しているのだけど,なかでもプロデューサーを救うための戦いは,圧倒的な困難さと孤独さに,見ているこっちも心が折れそうだった.

でも,ここで律子さんが失敗し,ドラクエの物語どおりに話が進んでしまったら,どれだけひどい,悲しい,救いのないことが起こるか,ドラクエIVの物語を知っている人ならば誰でも想像することができる.圧倒的なリアリティをもって.
なぜなら,我々はゲーム中であの悲劇を体験しているからね.
これは,たんに予言がどうのこうのと説明されるよりもずっと分かりやすく,強烈だ.
だからこそ,なんとしても悲劇的なことが起こる前に,プロデューサーを救出しなければ! と,我々も思わざるを得ない.
そこで,律子さんへの感情移入も強くなっていく.

そんなわけで,第七章95話 は,個人的にかなり強烈な印象を残した回だったけれど,それは「別の物語に支えられた物語の強さ」が背景にあるんじゃないかな,と思っている.

…….

律子さんへの感情移入だけでなく,アイマスクエストは,キャラクターへの感情移入を「させられてしまう」印象がある.アイマスクエスト世界の中にまでひっぱりこまれていくような.

それはたぶん,キャラクターの出発点が,「いまこの世界にいるアイドルたち」,言い換えればわれわれ視聴者と同じ地点であること,
そして,そこから逸脱していくときには必ずその理由が視聴者に分かるように作られていること,が大きいと思う.

アイマスクエストでは,その「逸脱」の原因は,大きく三つある.
呪いヒゲなど,一時的,付属的なもの.
●キャラクターの融合による,土台的なもの.
●キャラクターの成長
このうち「融合」もすごく興味深い設定だけど,感情移入の強さは「成長」の描き方によるところが大きいのではないだろうか.

アイマスクエストでは,キャラクターがどういう動機をもって,どういう体験をして,だからどういう成長をしたのか,これが必ずていねいに描かれている.
それが,視聴者が自分から出発してキャラクターに入り込みやすい理由のひとつなんだろうと思う.

具体的には第六章がわかりやすい (個人的に第六章はめちゃくちゃ好きだ).
第六章のクライマックス,真があずささんを救出できたのはなぜか.
それは真が,あずささんと同じく,
アイマスクエストの世界で大切なものを失い,望みを失い,その世界そのものへの愛着を失って,
しかしそのアイマスクエストの世界で,もういちど大切なものと,望みと,そして世界への愛着を取り戻していったから,だろう.
その過程をていねいに,つぶさに見せてくれるので,真があずささんに最後にかける言葉には ものすごい説得力を感じてしまう.
これが感情移入の力であり,物語の力のひとつなんだろうと思う.
(いま確認のために第六章ファイナル見たら,涙が……)

ここらへんの描写は,アイドルたちとNPCとはけっこう対照的だ.
アイドルたちは,成長する過程をきちんと見せてくれる.だから見ているほうは,自分がまるで彼女たち自身であるかのように思ってしまう.
いっぽうNPCたちは,成長する過程は基本的に見せていない.多少ほのめかされるキャラクターもいるけれど.
だから個人的には,NPCの活躍は自分のことのように感じるというよりも,あくまで「外から見ている」ように感じる.
師匠のすごさを目の当たりにする弟子の視線とか,そういうものに近い.
この見せ方,NPCたちが物語の中で果たしている役割とみごとに合っている.こんなところもすごいよなあ.

…….

キャラクターたちの動機と行動とを見せてくれるという点で,もうひとつわかりやすいのは,第七章終盤のこの場面だろう.

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90話の,エスタークを倒しにいくか,ピサロを狙いにいくかでパーティーが二分する場面.

この時点で明かされていない事情も,フェイクもあるけど,どちらにいくかについて (そしてためらいがあるかないかも含めて),全員の考えが視聴者にも理解できる.
それは言葉で説明されたからではない.
いままでどういう体験をしてきて,なにを大事に思い,なにを守りたいと思うか,すべてこれまでの物語の中で描かれているからだ.視聴者も一緒にそれを体験してきたからだ.
だからこそ,それぞれの正しさ,どうしようもなさを感じてしまう.
この圧倒的な説得力は,やっぱり感情移入からくるもので,物語の力のひとつだろう.

まとめると,私が感じるアイマスクエストの力強さの理由には,「複数の物語に支えられた強さ」「感情移入させる強さ」の二つがある.

もちろん,これがすべてというつもりなど全然ない.
繰り返しになるが,まず第一に ておくれPの想像力と物語構築力のすばらしさがあって,そこに加える要素として,この二つが印象的だったということだ.

…….

現在,連載は休止してしまっているけれど,やはり第八章への期待はとてつもなく大きい.
なぜなら,これまでの物語はプロローグだからだ.

これまでのアイマスクエストの物語は,おおまかにはドラクエIVの流れに沿っていた.
流れに沿っているといっても,各地の町はだいぶ様変わりしているし,バトランド・ブランカ街道とかエスターク(魔物バージョン)のお散歩とか,原作を離れているところもたくさんあるけど.
でも,第七章が終わるとともに,物語の流れはドラクエIVの流れから大きく外れていきそうだ.

そして,そういう物語こそ,私は見たい.
ておくれPオリジナルの展開が見たい.オリジナルのキャラクターが見たい.オリジナルの物語が見たい.

……とりあえず,いまは待つしかない.
これまでの物語をじっくり見直しながら,再開を楽しみに待ちたい.

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by LIBlog | 2010-02-21 22:44 | 動画サイト関連
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