265日目 アイマスクエストの「融合」について

昨日に続いて,アイマスクエストについて考える.

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アイマスクエストって何?という方には,昨日の記事の最初のほうに挙げた紹介記事がおすすめです.
アイマスクエストをご覧になるまで,昨日の記事の追記部分は読まないでくださいね!
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アイマスクエストでは, 「人格の融合」という設定を採用している.
この設定は,こちらの紹介記事でも触れられているように,アイマスクエストという物語の根幹にかかわるものだ.この物語の深さ,強さ,複雑さを支えている根っこの一つが「融合」である.
以下,それについてつらつらと書きたい.

……そうは言っても,まだ私はアイマスクエストを一回通して見ただけなのだが.
そんな段階でアレコレ考えたものなので,この文章は的外れなものである可能性も高いと思う.
けど,もやもや考えていることを一回まとめてみて,もういちど見直す時のために整理したいという思いもあるので,まあ的外れであってもご勘弁願います.

格納先の文章は,重大なネタバレを含みます!
アイマスクエストを最新話までご覧になっていない方は,絶対に読まないようにお願いします!





そもそもの話として,フィクションだろうがノンフィクションだろうが,「異質のものが出会う」ときに,大きなドラマが生まれやすいのではないかと思う.
「異質のもの」とは,異性でもいいし,師匠・弟子とかライバル同士とか上司・部下とか,なんでもいい.
個人でなくてもいい.異なる組織とか,民族とか,国とか,人間と異星人とか.

異質のものが出会い,親しくなり,愛情が生まれ,別れが訪れる.親しくならずに敵対するかもしれない.愛情が憎しみに変わるかもしれない.そういったもろもろのことはドラマになりうるだろう.

異質のもの同士の出会いの形にはいろんなものがあると思うが,アイマスクエストで採用されている「人格の融合」は,出会いの形として究極のものだと言っていいのではないかと思う.
さらに先走って言ってしまえば,アイマスクエストの主人公は,「融合」の中でも究極の形をとっているのではないか,と感じている.これがこの文章で私が言いたいことである.

ただし,アイマスクエストのドラマがすべて「融合」というテーマのもとに語れる,と言うつもりはまったくない.そのすばらしいドラマの数々の一部を,「融合」というテーマで語れないかなあ,と思うだけである.


アイマスクエストのドラマを,「人格の融合」に焦点をあててふりかえってみると,融合した二人の間の葛藤がドラマの軸である,と思う.
その葛藤はおもに,「愛着」「対立」が原因となって生じる.


まずは,「愛着」から生まれるドラマについて考えてみる.
アイマスクエストでは,「愛着」が原因で生じる葛藤は,別れの場面であらわれることが多いようだ.

別れは,ちがう世界に愛着をもつ二人が出会ったとき,避けようもなく絶対的に訪れる.もとの世界に帰るために,いずれ二人は別れなければいけない.そしてもし帰らないのであれば,もとの世界と別れることになる.どちらにしても,「別れ」に直面することになるだろう.
融合するという出会いでは,ひとりの人間がちがう世界の二人を抱え込む.
どちらの人格のことも,どちらの世界のことも完全な形で理解できる.つまり完全な形の出会いが「融合」である.別れのつらさは,ふつうの出会いの比ではないだろう.

そして実のところ,主人公以外の融合したキャラクターたちほとんどが,いままでに「別れ」の葛藤に直面し,みごとにそれを乗り越えてきている.

たとえば,やよいの場合,融合したときにドラクエ世界への愛着がもともと強く,しかも三章のシナリオに沿ってどんどんドラクエ世界に入り込み,関わりあっていった.そして三章終わりで「別れ」の運命を突き付けられ,そこから五章にかけて,葛藤をみごとに消化している.

二章のキャラクターたちの「別れ」の運命の突き付けられ方はもっと手ひどく,そしてまた彼女たちの乗り越え方もすばらしかった.

四章ペアの場合は,「別れ」とは言いきれないが,彼女たちのドラマもまた,アイマスクエストの世界への愛着から生じているのは確かだ.

さて,主人公である勇者・春香はどうだろうか.
融合した春香が目覚めたのは五章の冒頭で,(私の見落としがなければ,)まだ春香は,直接「別れ」のつらさを強く味わってはいない.勇者かっかの「別れ」を思い出しているだけである.

第五章35話より,「春香」の目覚め.
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しかし春香には,一章~四章までのアイドルたちとの大きな違いがある.それはこちらの世界で目覚めてからずっと,こちらの世界での体験が描写されているということだ.春香がドラクエ世界への愛着をもっていく過程を,我々はひとつひとつじっくりと見ているのである.
春香にも,愛着を原因としたドラマは降りかかってくるだろう.少なくとも「別れ」は必然的に訪れる.もちろんドラマは別れであるとは限らない.春香がドラマに,劇的な場面に遭遇したとき,ドラクエ世界と春香とのかかわりをすべて見てきた視聴者は,そのとき春香が感じることを,ほとんどそのまま感じるに違いない.
そういう意味で,主人公の「融合」の描き方は,だれよりも究極的であると言えないだろうか.


もうひとつの葛藤,「対立」はどうだろうか.
「愛着」だけでなく,ちがう世界の二人の「対立」も,融合という形で描かれると,さらにその葛藤の度合いを増す.
それはなぜか.

ふつうは対立する者たちの片側にいる者は,もう片側の事情を,内面を理解できない.理解したとしても,敵の事情を,内面を我がことのように親身に感じることはむずかしいだろう.
しかし対立するもの同士が融合してしまったら,対立するものの事情も内面も理解せざるを得ないし,我がことのように親身に感じざるを得ないだろう.
この葛藤はいかばかりだろうか.

アイマスクエストで対立している,あるいは対立する可能性がある世界は,魔族・魔物・人間・天空人(天空界)の四つだろう.

プロデューサーや律子さんのテーマは,「対立」によって生じる葛藤だと思う.

天空界は,魔族・魔物・人間たちと必然的に対立する運命にあるわけではなさそうだが,ときとして対立することがある.その対立に「融合」という形で巻き込まれるのが律子さんだ.

いっぽう,魔族と人間の対立に巻き込まれるのがプロデューサーである.
そして真美もそうだ.私が最初にアイマスクエストの面白さに気付いたのは,真美の葛藤が描かれた時だった.

確認しておきたいが,少なくともドラゴンクエストIVの世界では,「勇者になる子どもをさらう」という魔族側のやりかたは,魔族側から見たら完全に正しい.自らの脅威となる可能性を未然に消しておくという戦略は,正しいどころか絶対にとらなければいけないとすら言える.
(これがアイマスクエストの設定になると魔族側にとって完全に正しいかどうか,今の私は断言できない.もう一度見たときに注意して確認したい)
したがって,真美が目の当たりにする魔族(パパじぃは魔物?魔族?)と人間の葛藤は,彼女自身にはいかんともしがたい問題としてのしかかってくる.

第一章で真美が背負った葛藤は,すこし形を変えて,真に受け継がれることになる.
真は人間と魔物との対立の板ばさみになり,第六章全体をかけてその葛藤を消化していく.

第六章で真の助けになるのが,同じく対立するもの同士の矛盾と葛藤を抱えこんでいるプロデューサー,リバスト,そしてポッポであるのは偶然ではないと思う.真の苦悩を理解し,道を指し示すことができるのは,彼らしかいなかったのだろう.

さて,「対立」を背負うという意味でも,勇者・春香は究極としか言いようがない融合をしている.
まず,現段階ですべて描かれているわけではないけれど,おそらく勇者は魔族,人間,天空界の三つがいっぺんに融合した存在であるはずだ.
(天空界との融合については,アイマスクエスト内で触れられてはいないけれど,少なくとも原作では描かれている)
魔物や魔族との融合については,明言は避けるけど,どうみても究極でしょう,これは.
もういちど確認しますが,最新話まで見てない方は,以下は読まないでくださいね!

明言を避けながら何か書くってのはちょっと無理があるけど頑張ってみよう.
勇者は人間界の切り札,ジョーカー的存在だ.
そして閣下は(ある種の)魔族・魔物の切り札である.
さらにいえば,白春香は対魔族・対魔物の切り札である.
つまり,切り札的キャラクターがすべて,春香に融合していることになる.

同じく第五章35話より,白春香と閣下の対峙.
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もうひとつ言えるのは,「かっか」と「閣下(の正体)」は,少なくともドラクエ世界の設定の上では,明確な対比が可能だということ.
魔族は,人間側の最大の脅威である「かっか」を,実力を発揮させる前に倒そうとした.
人間は,魔族側の最大の脅威である「閣下(の正体)」を,実力を発揮させる前に倒そうとした.
要するに,かっかと閣下は同じ戦略をもつ正反対のプロジェクトの最終的なターゲット同士であって,人間側はプロジェクトに成功し,魔族側は失敗したのである.それがそのまま,ドラゴンクエストIVの世界の勝者と敗者となったのだ.
その対象同士が融合しているとかね,もう,どんだけ究極な設定ですかと.

したがって,切り札的存在を一身に集める勇者・春香の物語がこれからどう展開するとしても,これまでの物語よりもずっとスケールの大きい,ものすごいドラマが待っているのは間違いないと思うわけだ.


またしてもやたらと長くなってしまったが,ここまでの話をまとめよう.
アイマスクエストで採用されている「人格の融合」は,異質なものが出会う形として究極のもののひとつであり,そこから生み出されるドラマは非常に強いものになる.
そしてアイマスクエストの主人公は,「融合」から生まれるドラマが最大になるように設計されているように思われる.これはものすごいことなのではないだろうか.
そしてそのドラマが最大になるのは,まさに,まさにこれからなのだ.
これが期待せずにいられるかっ!

…….

いまの段階で言いたいことはぜんぶ書いた.
あとはおとなしく,静かに待つことにいたします.

……ところで,ここまで書いてふと不安に思ったが,ここらへんのことって,ておくれPが人気ランキング動画とかで既に語っておられたかなあ?
そうだとしたら,さも自分が思いついたように書きならべたことがめちゃくちゃ恥ずかしいぞ.
でももう書いちゃったし確認して消すのも手間だしモッタイナイという気持ちもあるしもう眠いので,エイヤッとアップしてしまおう.

エイヤッ

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by LIBlog | 2010-02-23 01:45 | 動画サイト関連 | Comments(0)
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