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新生児のDNA情報が政府や軍に流されていた!?

New Scientistのヘッドラインに流れていたニュース.テキサス・トリビューンという新聞社によると,テキサス州で新生児の血液サンプルが秘密裏に集められ,それをもとに連邦政府がDNA情報データベースをつくっていたとのこと (アメリカでは,先天性疾患などを見つけるために新生児は必ず血液検査を受けることになっている).

Newborns' blood used to build secret DNA database - Short Sharp Science - New Scientist

以前から問題になっていたこととして,テキサス州保健省(the Texas Department of State Health Services, DSHS)は,少なくとも2002年から年間約80万人ぶんの血液サンプルを大学病院から集めていたことが明らかにされている.このサンプルの用途は研究目的に限られていたのだが,両親の承諾を得ていなかったことが問題になり,裁判沙汰になった.

さらに今回,同紙の伝えたところによると,2003年から2007年の間に800人分の血液サンプルがアメリカ軍DNA鑑定研究所(Armed Forces DNA Identification Laboratory, AFDIL)に流され,ミトコンドリアDNAデータベースを構築するために使われたという.もちろん承諾なしで.

このDNAデータベースは当然ながら今回発覚した800人だけから構築されているわけではなさそうで,おそらくサンプルは国際的に集められていると考えられている.

血液サンプルは匿名状態にされており,さらにミトコンドリアDNAから個人を特定することは今のところ難しいため,プライバシーはいちおう守られている状態ではある.しかしながら,すべてが秘匿されていたということで,この事件はおおいに人々の不信を買っているし,また当然ながら今でも明かされていないデータベースは存在する可能性が高いわけで,こりゃ問題だよね,という話.

以下,雑感.
こういったたぐいのデータベースを持つ者は,今はそれほどでもないけれど,やがては圧倒的な情報強者になってしまうと思う.将来的には,おそらくバイオケミカルな方法で知りうる情報だけで,その人のほぼあらゆるポテンシャルが分かってしまうようになると私は思う(ここでも書いたように).そして情報元であるサンプルはかんたんに入手できる.なにしろ毛髪一本だっていいのだから.これはどうにかして対策をとらなきゃいけないだろう.

by LIBlog | 2010-02-25 19:32 | さいえんす関連
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