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らいか・デイズについて

ひさしぶりにマンガの感想でも.

らいか・デイズ 10巻 (むんこ) が発売された.


来華をめぐる日々の物語も,10巻まで積み重なってきた. だいぶ長期連載になったけれど,相変わらず安定して面白い.

でも,個人的には,期待がめちゃくちゃ高いぶん,物足りなさを感じないこともない. そういうことについてちょっと書きたい.

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らいか・デイズは,主人公の小学6年生の女の子である春菜 来華 (はるな らいか) と,同学年の男の子である竹田が,もうお前ら付き合っちゃえよ,と言いたくなるほど互いを意識しているんだけどなかなか進展しない様子,をメインに描く四コママンガ.

この作品に関しては,私はかなり思い入れが深い. とくに序盤,1巻から3~4巻あたりまでは,四コママンガと言わず,これまでに読んだすべてのマンガの中でも特別な作品に数えたいくらい気に入っている.

序盤のなにがいいって,来華と竹田は互いにとってどういう存在であるのか,とてもよく伝わってくるところがいい. どうして彼ら彼女らが互いに意識しあうようになったのかもよくわかる.

来華は,体が小さくておとなしく,手先がとても不器用な女の子なんだけど,ものすごく勉強ができて,組織をまとめるのもリーダーシップを発揮するのもめちゃくちゃうまい. そうしたことに関しては天才としかいいようがない子なんだよね.
でも,天才であるがゆえに,クラスや委員会や,果ては先生からまで,大人としてふるまうことを期待されてしまっている子でもある.

小学6年くらいの思春期の入り口のあたりって,大人と子供のはざかいにあって,ときには大人になりたいし,ときには子供として大人に甘えたい,そういう時期なんだと思う.
来華も,ほんとうは大人としての役割だけじゃなくて,子供でありたい時もあるはず. でも,なかなか友達の前や学校では子供としてふるまえない. 周囲の期待が,来華に子供としてふるまうことを許さない.
だから来華は,両親の前や祖父母の前では思いっきり子供になるんだよね.

ところが,竹田は来華を天才として特別視したりはしない.

竹田は来華ほどではないけれど相当に勉強ができる子で,しかも負けずぎらいなものだから,来華をライバル扱いし,つねに彼女につっかかっていく.
そうする一方,彼は家事が得意で手先が器用で,そうした面では来華ははるかに竹田にかなわない.

つまり,
竹田にとって来華はいろいろな意味でプライドを刺激する存在で,
来華にとって竹田は自分を小学六年生としてみてくれる数少ない存在なんだよね.

これが,二人にとって互いを意識するきっかけになっている. たぶんね.

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四コママンガだと,「天才だけどドジっ子」とか「ガリ勉で負けず嫌い」とか単なる役割だけでキャラクターが描かれる作品も多いように思う. でも,らいか・デイズでは,彼ら彼女らの背景にどういう物語があって,それゆえこの立場でこういう考え方や感じ方をする,などということまできちんと分かるように描かれている. そういうところがすごく好き.

こういう描き方は,来華や竹田だけでなく,まわりの友達や先生,両親などなどにも及んでいく.
序盤以降のらいか・デイズは,基本的には来華や竹田の関係はほとんどそのままで,かわりに そのまわりの人々の物語が主に描かれている.

私が特に好きなのは,来華や竹田と並ぶくらい優秀で,それゆえ来華みたいな疎外感を味わいがちな蒔奈の物語. 彼女にどういう背景があるのか,そしてそれゆえにどういう恋や友達づきあいをしていくのか. 彼女と彼女をとりまく人々の物語は素晴らしい.

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でもね. やっぱり個人的には,序盤以降,来華と竹田の関係がほとんどそのまま据え置かれていることがちょっと残念だ.
物語が二人だけでなく周囲に,外へ外へと広がっていくのもいいが,先へ先へと進んでいくのも見たい.
もしかしたら,先へ先へと進んだら,私たちが望まないような展開になってしまうかもしれない. でも,それはそれで仕方がない. 私はそれでもこの二人の,そして周りの人たちの行く先が見たいのだ.

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ちなみに表紙絵は4巻が一番好き.


パジャマ姿で物思いにふける来華. 彼女は景色を眺めたりしているときなど,たまにこういう表情をみせてくれる. こういう景色や背景と一体になってしまったかのような表情,私はほんとうに好きなんだよねー.

by LIBlog | 2010-06-20 19:23 | マンガ・本
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