ぷよm@sの変化と,それに同調するということ

ぷよm@s part20を見てから一日経った.

【ミスミス】ぷよm@s part20【ミスター】‐ニコニコ動画(9)

【ミスミス】ぷよm@s part20【ミスター】

とにかくpart20を見た直後は,いろいろな思いが渦巻いて,全然まとまらなかった.で,時間を置いたことで少しばかり落ちついた気もするので,感想を書きたい.

ネタバレを気にせずいくので,格納.



何を書こうかと考えていたとき,とにかくpart20では律子さんのことが強く印象に残ったので,律子さんとその周りのことを書こうかと思っていた. 上達したい何かがあるときは試行錯誤と分析のバランスが大事だよね,とか,そうは言っても自尊心をあずけてしまっているようなものに対して,そうそうバランスよくアプローチはできないよね,とか,まあその辺のことを.

でも,とりあえずそういうものは置いておく.こういうことは確かに大事だとは思うけれど,もうちょっと先を見てからじゃないと分からないところが多いし,またpart20から受けた衝撃は,こういう教訓的なものとはちょっと違うところにあるような気がしてきているからね.

前回のpart19を見たとき,これまでの話ではなかったような奇妙な感じをもった. 白熱したバトルでもないのに心拍数が高まるような. そしてまた,part20から漂う緊張感や張り詰めた雰囲気は,その延長線上にあるものなんじゃないかと思う. とにかくpart19以降,ぷよm@sの「物語」には圧倒されている.

しかし実のところ,ぷよm@sはpart19以降いきなり物語性が強くなったのではなくて,そもそもぷよm@sの主題が第三部に入ってからゆるやかに変化しつつあるのではないだろうか. いや,主題ではないかもしれないが,第一部や第二部では目立って描かれることがなかったものが,第三部からはっきりと表に出てきている気がする.

第一部や第二部,またごく最近までのぷよm@sシリーズに,私は熱血少年マンガ的な面白さを見ていた.それは一言でいえば「モチベーションの連鎖」だ.突出して強いモチベーションを持つキャラクターの活躍に,回りのキャラクターが影響を受け,新たなモチベーションを得ていくというドラマ. 第二部までのぷよm@sは,ぷよぷよにものすごい勢いでのめり込む美希と千早に,周りが巻き込まれ,ぷよぷよにはまり込んでいくようになる物語だった.

しかし本当に,現実に,やたらとモチベーションが高く,自分の内側から湧き上がる衝動が強い人物がいたとしたら,まわりに及ぼす影響は正の方向だけであるとは思えない. 新しくモチベーションを得るということは,いままでの「やりたいこと」とは違う「やりたいこと」を見出すということだ. それまで歩んできた道とは違う道を目指していくことなのだ. 大げさに言えば,これまでの人生のベクトルが曲がってしまうということなのである. 作用があれば,かならず反作用もある. 曲げる力が強ければ強いほど,反発する力も強くなる. 他人の心を変えてしまうとき,不自然に歪んでしまうことだってあるだろう.

しかし熱血少年マンガ的な展開をする物語は,「モチベーションの連鎖」の負の側面を前面に出して描くことはほとんどないのではないだろうか. 少なくとも私は,少年マンガを読むときにそのような展開を期待して読んだりはしない.

ぷよm@sは,熱血ぷよぷよバトルを描く作品だ. それは第一部から現在まで一貫して変わらない. そこには「モチベーションの連鎖」という,王道の燃える展開がある. しかしぷよm@sは,じつは熱血バトルと平行して,突出した人が周囲に影響を与えるということの負の側面をきちんと描こうとしているのではないだろうか. もしそうだとするならば,それはたぶん少年マンガの主題ではない. 少年マンガでは見えないようなところまで踏み込んだ,もっと先の主題なのだろう. それは少年マンガ的な衝動とモチベーションを持つ人と周りの人がきちんと向かい合おうとするとき,ほんとうはどうしても避けることができない問題なのだ.

現実には,それだけ強い衝動や動機を持つ人と対峙したときに生じる問題に向かいあうのは,とても大変で,めちゃくちゃつらいものだ. そこでポッキリ折れてしまっても,そもそも問題から目をそむけてしまっても,だれも責めたりはしないだろう. なにしろ自分自身が歪められてしまうような,否定されてしまうような問題なのだから.

しかし,たとえ一度は折れたとしても,また立ち上がってそこに向かいあえたとしたら,そしてその問題を乗り越えて,相手と対等な立場に立てたとしたら,それはまた熱血バトルとは違った,すばらしい物語になるのではないだろうか.

しかしそうであったとしても,最近のぷよm@sに漂う今までとは少し違った雰囲気は,少年マンガ的展開を期待していては見逃してしまうかもしれない. というか私はpart19の段階では,律子さんをとりまく「物語」,モチベーションの連鎖の負の側面にまったく気づいていなかった. 本当はその物語は単純な少年マンガ的展開よりももっと面白いものかもしれないのに.

本当のところ,そのことがこれからぷよm@sの主題になっていくかどうかは分からない. ただ,少なくともその負の側面が表面化したことは間違いない. そうである以上,今までは無意識に少年マンガ的展開を前提にしたような見方をしてしまっていたけれど,それでは本当の面白さを見逃してしまうだろう.

ぷよm@sは変わりつつある. 私もできればその変化にチューニングして,面白さを逃さないようにしていきたいなあ,と,そんなことを感じている.

…….

って,そういえばせっかくの見せ場だったというのに,雪歩の話をぜんぜんしてないな.

えーと,うーんと,そうそう伊織が「美希と雪歩は同類」みたいなことを言っていたけれど,ぷよm@sではやたらと自分を強く持っているキャラクターが多いよね. モチベーションの連鎖を発動する美希や千早は言うまでもないが,雪歩もそうだ. 「自分を強く持っている」というのは,自己主張が強いという意味ではなく,モチベーションが強いってことね.

そういう点で注目したいのは,じつはやよいだったりする. 彼女はランキング下位ではあるが,すでに確固たる自分を持っている. それは本編ではなかなか見えないが,ぷよぷよ講座シリーズを見るとはっきりわかる. そう,デスタワーだ. 彼女のデスタワーへの執着はハンパないのだ. これがどう転ぶのか. まさか雪歩みたいに上位をゴボウ抜きにしたりはしないだろうが,なにか嵐のようなことが起こるような気がしなくもない.

……あれ? 雪歩の話にならなかった.
まあいいか. まだまだ次だって雪歩の見せ場だろうしw

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by LIBlog | 2010-07-22 22:32 | 動画サイト関連 | Comments(2)
Commented by ガルシア at 2010-07-22 23:40 x
秋月律子の復権がここまで早く描かれるとは思いませんでした。
律子ファンですので、とても嬉しく、しかし、物語はさらに深化しています。
純粋な実力勝負で言えば、まだ律子の方が強い。
ただし、全く意識の外に置いていたはずの雪歩の飛躍と進化、そして敗北。
これに対するランキングドロップアウト発言。
律子というキャラクターも、実にしっかりと練り上げられたキャラクターでした。
雪歩の戦法も、“相手を倒さない為の連鎖”という恐怖です。
相手が倒れたら残念そうな顔をし、相手が踏み止まれば歓喜する。
1秒でも長く戦いたい、楽しみたい――。
ゲームそのもののラリーを考えると、美希以上かもしれませんね。
そして、何よりラストシーンです。
プロデューサーの発言。律子すら戸惑う、その内心の吐露。
あの、予告編動画が思い出されてしょうがないです。
「プロデューサーは――だよ」という美希の言葉。
『ぷよm@s』は、もっともっと掘り下げる事ができるようですね。
これからも追いかけ続けて、雪歩くらい、ほっこりしたいと思います。
Commented by LIBlog at 2010-07-23 00:09
>律子というキャラクターも、実にしっかりと練り上げられたキャラクターでした。

いやもう全くその通りで,私にはそれが見えていなかっただけに,今回は衝撃でした.
彼女がランキングをまた外れた理由は,単に負けたくないからというのではなくて,油断と驕りがあった自分を恥じているからなんですよね.
つまり最初にランキングを外れていた理由と,ふたたびランキングを外れた理由は違っている.
彼女はいま,きちんと自らの心に向きあおうとしているのでしょう.
そこにプロデューサーがどう絡んでくるのか分かりませんが,いずれにしても律子さんは必ず立ち直ると確信しますね.

ぷよm@sのキャラクターたちは本当にみんなそれぞれ,ぷよぷよに対するスタンスが違っているのが面白いです.美希や雪歩の貪欲さには,やっぱりどこか恐怖を感じてしまいますね.まだまだ掘り下げられていないキャラクターたち,言葉のはしばしに漂う波乱の予感,楽しみは尽きません.
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