「とのばな」シリーズが素晴らしい

出会いは,いつも突然だ.

ガルシアP作,色黒の社長と、事務に向かない事務員の話。のリンクを何の気なしにクリックした時,ここまでこの作品に,このシリーズに惚れ込むことになるとは,思いもよらなかった.


第一話,5分足らずの動画を観終えたとき,第二話をクリックせずにいられなかった. そして続けざまに第三話も. そしてまた第一話に戻り……(以下ループ).

これはおそろしく魅力的な作品だと思う. 私にとっては悪魔的とも言えるくらい,何度も見ずにいられないくらい引き込まれる作品だ. この作品独自の「表現」「物語」,そのふたつが合わさって,大きな魅力が発揮されている.

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ガルシアPの特徴的な表現方法については,Vinegar56%さんがきわめて包括的に解説してくださっているので (→すごろく妄想格納庫 (延長戦)  流れに乗ってガルシアP作品を振り返ったり振り返らなかったり),私としては特に何も言うことはないのだが……. ただまあ,超主観的に,自分がどういう体験をしたかということだけは書きつけておきたい. それはとても甘美な体験だった.

第一話を観始める. するとまずBGMに惹かれる. 民族音楽のような,おだやかでどこか懐かしさを覚える曲調. それに乗って語られる,過去を振り返る形で語られる物語. 見覚えのある,でもぼやけた背景.

なにか自分の中で呼び起こされるものがあるような,根源的なところに訴えかけてくるような,そんな導入である. とおい昔に聴いたかもしれない子守唄を,とおい昔に読んでもらった絵本を,とおい昔の景色とともに思い出しているような感覚だった. ……なんでこの感覚がたまらなく好きなんだろう. 歳をとったってことかなあ.

そのまま視聴を続ける. ところどころ驚きが交じる. 笑いが挟まれる. あれはそういうことだったのか! と前のシーンを思い出す. 反復される言葉のどれもが,二度目にはまったくその様相を変えている. 意味するものが置き換わっている. もう一度見たくなる. でも先も気になる.

第一話には,ちょっと一言で言い表せないくらいたくさんの要素が詰め込まれていて,こりゃーなんだかすごいものが始まろうとしているぞ,と思わずにはいられなかった. いまや第一話の視聴回数は20回に迫ろうとしているが (確認のための回数なども入っているけど,それにしても視聴履歴を見て驚いた),まったく飽きないのは,この作品の独特の「表現」によるところが大きいと思う. なにかを呼び覚まされるような感覚と,起伏に飛んだ展開を味わっていることが心地よいからなのだ.

そして同時に,今から始まろうとしている物語への期待が一気に高まってくる. 立ち絵が,文章が,多くを語らないからこそ,自分の中で想像する物語が,大きく膨らんでいく. ここまで来たら,あとはもう先を見る以外の選択肢はないのである.

第二話,第三話と進むと,そこで語られている物語が,自分の中で膨らんだ期待にまったく負けないくらい力強く,素晴らしいものであることがはっきりする. あの心地良い「表現」はそのままに,「物語」がじっくりと語られていくのが嬉しくてたまらなくなる. 「表現」に負けない素晴らしい「物語」が,作品に力を与えているのだ.

独自の表現と,すばらしい物語. その両方を味わえる本作. いやほんとに,これは必見ですよ!(プッシュ記事風に. でも本当にそう思う)


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で,以下では誰もが語ることを自重しているこの作品の「物語」そのものの話をしたいのだけど,さすがにネタバレは是非とも避けたいので格納. 未見の方は本編をご覧になってからお読みになることを強くおすすめします!








まだまだ導入地点の物語の感想としては先走りすぎかもしれないけど……. いまの段階で,この作品に私が読み取っているものは「世代交代」の物語である. あれから十数年経つということ,人が変わり,環境が変わっていくこと,そこで引き継がれるもの,変わらずに残るものの意味が,ここでは問われているように思われるのだ.

……うーん,世代交代の物語を好きになるのか私は. やっぱり歳をとったってことなのかな…….

ま,それはともかく.

「世代交代」の意味とは,なんなのか.

この作品の登場人物たちは,ほとんど誰もが例外なく,敗北,挫折,蹉跌,つまずきを経験しているように私には思える. アイドルたちの中に,いまでもその舞台に残っているものはいない (今の段階で分かっている限りはね). 「色黒の社長」が冒頭で言うように,登場人物たちはみなそれぞれに「哀れな」思いをしたのだろう.

だがしかし,そのとき味わった悲しみは,叶わなかった夢に捧げた時間,注いだ情熱は,無駄にはならないのである.

そんな甘い世界じゃないって、

私たちが一番よく知ってるじゃん!


彼ら彼女らの情熱は,経験は,そのすべてが糧となって,次の舞台に生きてくる.

「青年」は,「事務員」は,「女医」は,「審査員」は,「専務」は,その活躍の舞台を移したのだ. 戦いのステージを変えたのだ. その役割が移り変わったのである. それが「世代交代」の意味なのだ.

「色黒の社長」も例外ではないだろう.

青年は,社長の「雰囲気は、相変わらずだった。」ことを感じとる. しかし二,三言交わすうち,「雰囲気が、少し変わっていた。」とその思いを改める. 変わっていないのは彼の本質であり,変わったのは役割なのである. 第一話で描かれたこと,そして描かれなかったこと,それが彼のステージを,役割を変えたのだ.

登場人物の誰も彼もが,かつての役割を終えた. それは同時に,新たな舞台での戦いの始まりを意味する. かつての自分たちの役割を担うものへのサポート,バックアップ. それこそが,その次の舞台なのである. 「夢の階段」を一歩踏み出すのは,あのアイドル候補生だけではないのだ. だからこそ社長は,いま必要なことが何なのかを,青年に自力で気づかせなければいけなかった. そして彼が気づいた後は全力で彼のサポートに回るのである. ふたつの「世代」の移り変わりを,ここに見てとることができる.

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だがおそらく,この物語はそこで終わらない. それだけにとどまらない.

彼ら彼女らは,かつてはひとつの舞台をめぐって争い,協力し,そして活躍していた. そして今やその舞台での仕事を終え,それぞれにバラバラの人生を送っていたようである.

……もしかしたら.彼ら彼女らは,再集結しようとしているのではないか? 集結の場は,彼らが直接立つ舞台ではない. 彼ら彼女らが直接出会うことも,多くはないかもしれない. しかしそれは確かに「ひとつの舞台」をめぐった出会いとなり,交差となり,集結となるような気がする.

彼ら彼女らの,かつての挫折と呼んだ体験は,その舞台から見た視点のもとで新しく位置づけられるようになるだろう. かつての「哀れな」経験は,そのステージから見た視点をもとに新しく理解されなおすことになるだろう. そして,実はそれこそが「世代交代」というものの本当の意味になるのではないだろうか……とか想像してみたりして.

まあそこらへんは私の勝手な妄想にすぎないけど,なにはともあれ続きが楽しみで仕方がない,ということが言いたいであった.

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せっかく格納しているのだから,もう少しネタバレしてもいいかなあ.

というわけで,シルエットの話を.

といっても難しそうな話じゃなくて,えっとですね,私はあの子のシルエットがすごい好きです! 自作なのかとか元があるのかとか分からないけど,すごい好き. 他のシルエットもすごくカッコイイんだけど,あの子のシルエットは表情が見えるのだ. 心情が分かるのだ.

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オーディションを前にして緊張した面持ち.肩に力が入っている.

でもね,重心がかかとに乗っているようじゃダメなんだ. 上体が後ろに引けているようじゃダメなんだよ. 前に前に出ていかないと. 本当はレッスンを重ねて,そのための自信をつけていかなきゃいけないんだよ.


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それでも精いっぱい,プロデューサーの言葉に答える.もう後ろに引いたりはしていない.こんな細い腕で,小さな体で…….

ああ,なんて健気な子なんだ. がんばれ,がんばってくれ. 見てるから. ずっと見てるから! 負けるなよ! プロデューサーもがんばってこの子と一緒に歩んでくれ! 女医もがんばれよ!

あーもう,書いてて改めて思った. これはすばらしい,本当にすばらしい作品だ. これからも全力で追いかけるぜ!

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by LIBlog | 2011-04-17 23:06 | 動画サイト関連
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