ストーリーに沿って証拠を集めるということ

前回のオホマス感想記事から削った部分を分割して投稿してみます.格納以下は第34話のネタバレを含みます.




オホマスシリーズは私自身の仕事環境と関心(の変化)に重なる所が多々あってそういう点でも興味深く拝見したと言いましたが,それは組織がどうのこうのという部分だけでなく,個々の「有能な」人々の仕事の進め方にも,感じ入るものがありました.たとえば水本ゆかりさんのこれ.

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「捜査活動は単なる事実観察ではありません.
予め想定した筋書きに沿う証拠を収集して,公判を提起するプロセスです.
その意味で,証拠収集よりまず明確な筋を引くことが大事です.」
「説得力のある筋を示せる段階になったらまたいらして下さい」

現実の警察や検察特捜部の捜査活動が本当にそうであるのか,ということは私にはわかりません.しかし,少なくとも私がふだん仕事をしている世界では,いい仕事をするにあたって,このことは非常に重要です.理想論をいえば,情報に重要なものもそうでないものもなく,あらゆる情報を集めることが大事だとは確かにいえます.しかし,時間やお金,人手といったリソースが有限であり,かつ人間がものごとを理解する際にはかならずストーリーで理解する--だからたとえば,何かアクシデントが起こったら,それを調査する人間は現場の責任者にに「ストーリーは何だ?(What's the story?)」と聞きます.事実の羅列ではなく,因果関係によってまとまったストーリーが提示されることで,はじめて事態を理解することができるからです--以上,あるひとつの筋を立て,その筋に沿った情報を収集することが必要なんです.

これはすなわち,単に仕事をこなす(タスクを終わらせる)だけでなく,どうしたら「いい」仕事ができるかということにつながるでしょう.あらかじめよい筋が,すなわちインパクトのあるストーリーが描けるのならば,それは最終的に良い仕事になるはずですからね.美希は世論のバックアップを受けて公判を維持することにも必要だと言っていますが,ほとんど同じことが私のいるギョーカイでも言えます.

問題は,その筋にあった証拠が発見できなかった場合ですが…….とりあえず,現実になにが起きる(起きた)かは,言わぬが花というものでしょう.

……ということが最初から分かっていたわけじゃなくて,ここでそのことがゆかりさんによって言語化されて初めて,ああそういうことなんだなぁと腑に落ちたわけでして,なんか,そういうところも感動的でしたね.

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by LIBlog | 2015-03-05 00:42 | 動画サイト関連 | Comments(0)
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