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有尾両生類の再生能力について考える その3

有尾両生類の再生能力について考える その1

有尾両生類の再生能力について考える その2

前回からの続き.

有尾両生類には著しい器官再生能力がある.それを哺乳類にも持たせるにはどうしたらいいか.

問題は二つありそうだ.
ひとつは,傷口に再生芽をどうやってつくるか
もうひとつは,もとの形態,機能をどうやって復元するか

本項では,とりあえずひとつめの問題について考えたい. 以下では基本的に有尾両生類の四肢の再生に焦点を絞る.

まずは再生芽ができるための環境要因について. 四肢を切り落とすと,傷口を上皮 (損傷上皮, wound epidermis) が覆い,のちに上皮直下の組織が脱分化する. この過程を眺めるに,「傷を受けたこと」や「損傷上皮ができること」あたりが,再生芽形成すなわち脱分化を促進するようなシグナルを発しているのではないか,と想像される.

実際,「傷を受けたこと」=「出血したこと」は,おそらく脱分化にとって重要である. イモリの筋繊維 (myotube, 最終分化しており多核である) を培養し,そこに血中タンパクであるトロンビン (thrombin,血液の凝固に重要なタンパク質分解酵素) をふりかけると,未分化で単核の筋芽細胞 (myocyte) が出現するという. ということは,出血して血流に組織がさらされることが脱分化を促す要因のひとつである可能性がある.

また損傷上皮の形成もおそらく脱分化に重要だ. 脱分化は基本的に損傷上皮ができた後で起こることが知られている. そして切除後に損傷上皮をはぎとってしまうと,脱分化が起こらず再生芽が形成されないらしい.

つまり組織が損傷を受けること,そして損傷上皮ができること,少なくともこの二つの条件が満たされたときに脱分化,再生芽形成が起こると考えられる. これが再生芽形成を支える環境要因であろう.

……しかし環境もたしかに重要だが,ほんとうに知りたいことは,そのような環境からのシグナルを受けて,実際に細胞の中で何が起こるか,だ. どのような現象が細胞の中で起こって脱分化するのか. その現象を再現することができるのか.

脱分化と聞いて,すぐに思い浮かべるのが iPS細胞 (→ 人工多能性幹細胞 - Wikipedia) だろう. iPS細胞のようなことが再生芽で起こっているのではないだろうか. 答えはおそらくイエスで,イモリのレンズや四肢の再生芽形成過程では,Sox2, Klf4, c-Myc などの「山中因子」の発現が上昇することが確認されている. またゼブラフィッシュのヒレ再生でも似たような遺伝子の発現が上昇するという. そしてこれらの遺伝子の発現を邪魔すると,再生芽形成が阻害されるらしい.
(ならば哺乳類でも,傷口に山中4因子をウイルスベクターででも強引に発現させてやれば……ゲフンゲフン)

しかし,おそらく iPS細胞ほど強烈な脱分化をしなくても,有尾両生類の再生能力はじゅうぶん持たせられるのではないかと思う. Kragl らの報告によると,アホロートルの四肢再生では分化転換 (transdifferentiation) は限定的だという. すなわち,筋肉由来の再生芽は軟骨や腱や表皮にはならず,軟骨は筋肉にはならず,神経は軟骨にはならず……などなど,再生芽は脱分化してはいるが,もともとの組織の「記憶」をある程度保持しているらしいのだ(1)

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したがって,むりやり傷口の組織を未分化な状態に戻さなくても,とにかく細胞周期に入れてしまいさえすれば,ある程度の再生能力を持たせることができるのではないか,と想像できる.

ここで哺乳類の再生モデルを見てみたい. 非常にまれな例だが,あるていど再生芽をつくる能力を持っているマウスの系統,ヒーラー系統 (healer strain) というものが存在する. 彼らはパンチで耳に穴をあけても一カ月ほどで塞いでしまう (そのため耳パンチ穴で個体識別ができない) し,指先くらいならば欠けてしまっても再生することができるという. その再生能力の遺伝的要因はゲノム上の20以上の領域にマップされているようなのだが,そのうち p21 という腫瘍抑制遺伝子で細胞周期のチェックポイント因子として働く遺伝子の重要性が最近 Bedelbaeva らによって示された. ヒーラー系統ではp21の発現がなくなっており,非ヒーラー系統でもp21をノックアウトすることで再生能力が亢進されるというのだ(2)

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というわけで,やはり無理やり組織を脱分化させる必要はそれほどなく,細胞周期のチェックポイントをちょこっと外して,増殖しやすいようにしてしまえば,ある程度の再生能力を得られるようになるのではなかろうか. まあさすがに全身でp21を抑制してしまうのは危ないと思うが,しかし傷口で局所的かつ一時的に抑制するくらいなら行けるんじゃないか?

哺乳類の例をもうひとつ挙げよう. われわれは胎児のときには,あるいは生後しばらくの間は再生能力が高く,成長するに従って徐々に再生能力を失っていく. たとえば新生児は,指先,とくに爪の付け根から先くらいであれば,欠けてしまっても再生することが可能だ. しかし5歳くらいになってしまうと,もうその能力は失われてしまう. このとき何が失われたのだろうか.

指先の再生能力は Msx1 という転写因子と相関しているようだ,という報告がある. Msx1 は両生類の再生にも必須な因子で,哺乳類の新生児では爪の下の細胞で発現していて,生後から徐々にその発現は失われるという. このことから単純に考えれば Msx1 を無理やり傷口で発現させてやれば……などと想像してみるが,さすがにその手の実験はやられていそうだ. たぶん Msx1 だけでは十分でないのだろう. もうすこしべつの因子の探索も必要だろうな,と思う.

なお胎児の再生能力 (fetal healing) については,それはそれで面白そうである.胎児のときは皮膚に大きな傷を受けても跡が残らない (scarless healing) が,大人になると跡が残る (fibrotic healing). この違いは何によるのだろうか? これも機会があれば考えてみたい問題だ.

とまあ,いろいろと勝手気ままな想像をしてきたが,まずはなんとしても再生芽をつくらないことには両生類式の再生は難しいだろう. たぶん今までもたくさんの試行錯誤があったと思うのだが,なんとかうまいことできないかなあ.

また,なんとか再生芽をつくりだせたとしても,もう一つの問題が行く手に立ちはだかっている. もとの組織をどうやって再現するか,だ.

この問題は次回以降に考えていきたい.

引き続きツッコミお待ちしています.

この項の参考文献:

Principles of Development 3rd Edition (Lewis Wolpert) Chapter 13
4th Revised Editionあり)

Regeneration review reprise
Whited, J. L. and Tabin, C. J.
J. Biol. 9, 15 (2010)

(1) Cells keep a memory of their tissue origin during axolotl limb regeneration.
Nature 460, 60-65 (2009)
Kragl et al.
(→ LIBrary : 九十三日目 論文メモ

(2) Lack of p21 expression links cell cycle control and appendage regeneration in mice.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 15, 5845-5850 (2010)
Bedelbaeva et al.
(→ LIBrary : p21を抑えることで再生能力が強くなる

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by LIBlog | 2010-06-29 19:41 | さいえんす関連

有尾両生類の再生能力について考える その2

有尾両生類の再生能力について考える その1 からの続き.

有尾両生類の再生の場ではなにが起こっており,なにがわれわれ哺乳類とは違っているのだろうか.

哺乳類からの類推で考えると,傷口の近くにある組織幹細胞 (tissue stem cells) や前駆細胞 (progenitor cells) が活発に分裂すれば再生が起こりそうな気がする. われわれの創傷治癒,あるいは日常的な細胞の代謝は基本的に幹細胞に支えられているから,それを少し加速させてやるようなイメージだ. プラナリアは幹細胞を利用した再生をする動物で,奴らは全身に neoblast と呼ばれる幹細胞を維持している. Neoblast の数は全細胞数の 20~30% にものぼるという.

ところが有尾両生類の再生は幹細胞システムとは別のシステムが働いているらしい. 奴らは,傷口近くの細胞が脱分化して増殖し,のちに再び分化するという道をたどるのだ. ちなみにプラナリアでも,幹細胞システムだけではなくて,傷口近くでは脱分化も起こっているという.

つまり動物界の再生様式には,プラナリア的な幹細胞ベースの再生と,イモリ的な脱分化ベースの再生のふたつがある.
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哺乳類では,日常的に起こっているのは幹細胞ベースの代謝や創傷治癒で,脱分化ベースの再生はわずかに肝臓で見られるものが唯一それに近いものだろう (とはいえ肝臓の再生についてはほんとうに脱分化ベースなのか疑問とする説もあるようだ). さて,どちらを利用するのがよいだろうか.

iPS細胞 (→ 人工多能性幹細胞 - Wikipedia) の発見(発明?)以来,幹細胞ベースの再生医療は注目のまとである. しかし幹細胞を利用した組織・器官の再生には大きな壁が存在するように思われる. それは形態形成 (morphogenesis) だ.

たとえばI型糖尿病のβ細胞やパーキンソン病のドーパミンニューロンのように,あるひとつの細胞だけが死んでいくような病気にとっては,幹細胞による再生医療は非常に効果的だろう. 死んでいくひとつの細胞を幹細胞からつくりだせばいいからだ.

だが,たとえばすい臓や脳そのもの,あるいは腕や足でもいい,組織や臓器をまるごと再生させたい場合にはどうだろうか. すい臓にはβ細胞だけでなく,α細胞もγ細胞も外分泌細胞も血管も導管も細胞外基質も存在する.腕だったら,皮膚や筋肉,軟骨,骨,筋肉,腱などさまざまな組織があり,また手のひら,指,うで,ひじ,といったマクロな構造もある. 神経や血管も通わせなければいけない. このすべてを幹細胞からつくりだすのはとても困難なことなのではないだろうか.

……困難ではあるが,可能性はあるようだ. 私のわずかな知識では,東京女子医大の岡野教授らの細胞シートを利用した三次元的な組織構築法など,すでに可能性があるどころの話ではないような状況にあることもたしかだ.

しかし,傷口の細胞をそのまま再び増殖させて元に戻すイモリ式の再生は,幹細胞からスタートして組織を丸ごとつくっていくよりも,形態形成を正しく行う上では有利である気がして仕方がない.

さて,では有尾両生類の再生の場では何が起こっているのか.

イモリの再生を例にとってみよう. イモリではレンズと四肢の再生がもっともよく研究されているようだ. レンズ再生でも非常に興味深い現象が多くみられるのだが,ここでは四肢の再生に絞る.

冒頭にも書いたが,ふたたび再生の場で起こることを概観すると以下のようになるだろう.
イモリの腕を二の腕あたりから切り落とす. すると,傷口の表面を表皮細胞が移動して覆う. 覆われた表皮の下に再生芽(blastema)ができる.再生芽は脱分化 (dedifferentiation) した細胞のかたまりで,おもに真皮 (dermis) 由来だが軟骨や筋肉に由来する細胞も含まれる.こいつらはどんどん増殖して伸長していき,のちに再び軟骨や筋肉に分化する. これが大まかな再生の道すじだ.

つまり問題は大きく二つに分けられそうだ.まずは再生芽をどうやってつくるか.そして元の組織をどうやって再現するか. この二つをクリアすれば,哺乳類でも組織や器官を再生できるのではなかろうか. ……さあ,どうやってこの二つの問題をクリアしよう.

といったところで次回に続く. ……って,ほんとうに続くのか?

引き続きツッコミお待ちしています.

この項の参考文献:

Principles of Development 3rd Edition (Lewis Wolpert) Chapter 13
4th Revised Editionあり)

ベーシックマスター発生生物学 (東中川 徹 ほか 編著) 第五章

Regeneration review reprise
Whited, J. L. and Tabin, C. J.
J. Biol. 9, 15 (2010)

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by LIBlog | 2010-06-27 16:16 | さいえんす関連

有尾両生類の再生能力について考える その1

このところ,有尾両生類の再生能力が気になっている. やつらの再生能力を,われわれの体にも持たせることができないだろうか?

われわれ哺乳類の再生能力はきわめて限定的なものだ. もちろん哺乳類もちょっとしたキズを治すことはできる (wound healing, 創傷治癒) が,たとえば臓器や器官そのもの,もしくはその大部分を失ってしまったら,もう再生することはできない. たとえ指一本であっても再生することは不可能だ (数少ない例外は肝臓).

いっぽうイモリやアホロートル,あるいはオタマジャクシ幼生などの有尾両生類の再生能力はすさまじく,指どころか四肢そのものや,各種臓器,目,そしてなんとまでも,大部分を失った状態から再生することができる (再生した脳では記憶はどうなっているんだろう?). 奴らのこの再生能力にひそむメカニズムの詳細を解明し,われわれにも同じような能力を持たせることができたら,それは素敵なことなのではなかろうか.

有尾両生類の再生について考える前に,まずは再生能力の生物種間での違いについて眺めてみたい. 有尾両生類,あるいはわれわれ哺乳類の再生能力は前述のとおりである. では他の生物ではどうだろうか.

バクテリアや酵母など単細胞生物は除外して考えると,植物は多細胞生物の中ではおそらくもっとも高い再生能力を持つのではないだろうか. ものによってはたったひとつの細胞から全身を再構築できるのだから,これはほとんど他に類を見ない再生能力だ. しかしさすがに植物と哺乳類では離れすぎていて,その再生戦略をマネできる可能性は低いのではないかという気がしてしまう.

動物界に目を向ければ,ヒドラやヒトデ,あるいはプラナリアなどが非常に強い再生能力を示すことに気づくだろう. たとえば奴らの体を二つに切り分けると,どちらの小片からも完全な個体ができる. これは有尾両生類にもない能力だ. 有尾両生類では,たとえば腕を切り落とせば残った体から腕を再生できるが,切り落とした腕の方から全身ができたりはしないからだ. プラナリアなどに見られる全身再構築能力を形態調節 (morphallaxis) といい,イモリなどに見られる器官再構築能力を付加形成 (epimorphosis) という.

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ちなみに,棘皮動物(ヒトデとか)や扁形動物(プラナリアとか)のほうが有尾両生類(イモリとか)よりも再生能力が高いことは,かならずしも「からだのつくりが単純な動物は再生能力が高い」ということを意味しない. それに近隣の種であっても再生能力に著しい差がある例もある. たとえば線虫やヒルは比較的単純な体をもつが,ほとんど再生能力はない. ところがヒルと同じ環形動物のミミズは再生能力が高かったりもする.

さて話を戻して,もしわれわれにこのような能力を持たせられるとしたら,形態調節と付加形成,どちらの能力が望ましいだろう. ……それはやはり,プラナリア型の形態調節ではなく,イモリ型の付加形成なのではないだろうか. 腕を再生できるのはいいが,切れた腕の方から人そのものができたりしたら,ちょっとアレな気がするしねえ.

有尾両生類が私の中でアツいのは,以上のような理由による. 奴らは哺乳類と同じ脊椎動物で,しかも望ましい程度の再生能力の持ち主だからだ.

有尾両生類の再生の秘密は何だろうか. イモリやアホロートルの腕を切除したり,レンズを取り去ったりしたら,その場では何が起こるのだろうか. われわれ哺乳類ではなぜ同じことが起こらないのだろうか. そしてどうしたら,哺乳類でも同じようなことが起こせるのだろうか.

……といったところで力尽きたので,次回に続く. ……飽きなければ.

なお,私はこの分野に関しては完全に素人です. 記事の内容を鵜呑みにされないように.
それからツッコミ大歓迎. 専門家さんからでも,非専門家さんからでも.

ここまでの参考文献:

エッセンシャル発生生物学 (Jonathan Slack 著,大隅 典子 訳) Chapter 20
いまは改訂第二版が出ているようです.

Principles of Development 3rd Edition (Lewis Wolpert) Chapter 13
こちらも4th Revised Editionが出ているようです.

Evolution of animal regeneration: re-emergence of a field
Bely, A. E. and Nyberg, K. G.
Trends Ecol. Evol. 25, 161-170 (2010)

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by LIBlog | 2010-06-26 18:43 | さいえんす関連

偽遺伝子が遺伝子を守る

Nature 465, 1033-1038 (2010)

偽遺伝子がマイクロRNAに対するデコイ (おとり) になることで,対応する遺伝子の発現量を調節しているという話. こりゃびっくり. でもありそうな話ではある. 紹介記事あり: Nature 465, 1016-1017 (2010)

ガン抑制遺伝子である PTEN (→ PTEN - Wikipedia) は,ハプロ不全性 (→ Haploinsufficiency - Wikipedia) を示すように,その遺伝子産物の量の調節が機能的に重要である. PTEN の発現量はマイクロRNA (miRNA,→ miRNA - Wikipedia) により調節されており,ガンではこのマイクロRNAが高発現した結果 PTEN が抑制されているものもあることが知られている.

本論文によると,さらに PTEN の偽遺伝子 (→ 偽遺伝子 - Wikipedia) が PTEN に対するマイクロRNAの効果を調節するのに一役買っているという.

ヒトのゲノムには PTEN からのレトロトランスポジション (mRNA から逆転写されてゲノムに入り込むこと) によってできた偽遺伝子,PTENP1 が存在する. PTENP1 はほとんどの細胞で発現しており,3' UTR に既知の PTEN に対する miRNA target sequence とほぼ完全に一致した配列を持っている. なお PTENP1 から何か翻訳されているという証拠は今のところない. つまり PTENP1 というのは転写だけされているような偽遺伝子である.

著者らは PTENP1 の全長もしくは 3' UTR だけを強制発現すると,PTEN の mRNA とタンパクどっちのレベルも上昇し,細胞増殖に対しても抑制的に働くことを見出した. また,この効果は Dicer 依存的,すなわち miRNA を介していることも示している. さらに合成 siRNA を使った実験でも同様の結果を得ており,PTENP1 は PTEN に対する miRNA の効果を競合的に阻害しているということを明らかにしている.

重要なこととして,多くのがん細胞,あるいはがん患者の細胞で PTENP1 の発現が失われており,ゲノム中の PTENP1 locus が落ちているものもある. したがって実際のガン化メカニズムの中に PTENP1 も含まれている可能性が高い.

…….

やたらとWikipediaの引用が多くなったが (そして途中から面倒になって引用をやめたが),Wikipedia をはじめいろいろと調べていると偽遺伝子が遺伝子発現を調節している例ってのはけっこうたくさんあるみたいだ (→偽遺伝子 - Wikipedia). 本研究はターゲットが PTEN であることと,実際にガン細胞で発現が失われていたりゲノムから落ちてたりってところが評価されたのかな.

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by LIBlog | 2010-06-24 17:37 | さいえんす関連

GIRL FRIENDS が素晴らしい

GIRL FRIENDS 4巻 (森永 みるく) を読んで,とても幸せな気分になった. これはもう絶対おすすめです. すばらしいですよ.


正直,2巻3巻 は,ちょっと読んでいてつらかった. 重苦しい雰囲気と,どう転ぶか分からない不安に,4巻を買うかどうかを少しためらう気分があった.

迷った末に手に取った4巻だが,買ってよかった! つらくてこわかった分,むくわれる幸せもひとしおだ.

…….

GIRL FRIENDS は百合マンガである. 女の子と女の子の恋愛が描かれる.
舞台は女子高,おとなしくて地味な主人公のまりは,クラスメイトのあっこに声をかけられて仲良くなる.
やがて親友になった二人はしだいにお互いへの恋心を抱くようになり,ついに思いが通じ合う.

4巻かけて描かれるのは,言ってしまえばたったこれだけ. 三行でまとめられる内容だ.

だけど,たったこれだけの進展を,これだけの時間,ページをかけてじっくりたっぷり描かれると,彼女たちに対する愛着がものすごく強くなって,不安も喜びも二倍三倍になって伝わってくる.

それにじっくりたっぷりといっても,まりとあっこの二人は,行きつ戻りつふわふわといつまでも,という関係で描かれたりはしない. そこがなにより素晴らしい.
友達から親友に. やがて,もっと近づきたい気持ちが芽生える. でもそれは叶わない願いと諦め,そうこうするうちに相手の方が意識しはじめ…….
すこーしずつすこーしずつすこーしずつ,二人の関係は先に進んでいく. 二人の関係の質が変わっていく.

関係が変わっているといっても,目に見えて二人の仲が近づいたり離れたりしているわけではない. なにしろ二人の関係が変わっていっていることに,彼女たちの友達ですら,ほとんど気づいていないのだ. まわりには,ずっと変わらず仲がいい二人,と思われているだろう. しかし水面下では,まりとあっこの関係は,ぐらぐら揺れる細い橋のような危なっかしいもの. そんな不安定な関係をたどった末に,ついにたどり着く4巻ラストの幸福感. これはほんとうに心に沁みいる. いやほんと,これを味わわずにいるのはもったいないですよ.

…….

この作品,もうひとつ個人的に好きなのは,女子高生の生態っつーものが全編通してすっごい細かく描かれているところだ. こちとらそんなもの知る機会なんざ ありゃーしないので,へえー,へえーの連続である. メイクだのファッションだのショッピングだのダイエットだの,果ては爪の手入れまで. いやーたいへんですねオンナノコってのは. いやまあ,それが楽しくて仕方ないみたいなんだけどさ.

これ,たぶん男性向けってことを意識してると思うんだけど,じつは描き方がすごくうまい.
というのも,主人公の まりって子は,そういう女子高生っぽいこと全般に疎くて引っ込み思案で,っていう子に設定されているんだよね. 最初はそういうことについてほとんど何も知らないし,友達も少ない. で,この子に対して,はじめての親友である あっこがいろいろ指南していくっていう物語になっている (まあ,そういう経緯で まりがあっこを意識し始めるんだけど).
つまり,まりに対するあっこたちの指南によって,読者であるこっちも勉強(?)していけるようになっているんだよね. 最初から当たり前のようにメイクの話題とか出されていたら,読んでるこっちはわけがわからず戸惑っただろう. でも,まりと一緒にこっちもお勉強させてもらったおかげで,こっちも彼女たちの会話に加わっているような一体感が自然にもたらされている. うまいですよこれは.

というわけで,物語は素晴らしい,教養(?)としても目からウロコな GIRL FRIENDS,最高です.

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by LIBlog | 2010-06-21 21:49 | マンガ・本

らいか・デイズについて

ひさしぶりにマンガの感想でも.

らいか・デイズ 10巻 (むんこ) が発売された.


来華をめぐる日々の物語も,10巻まで積み重なってきた. だいぶ長期連載になったけれど,相変わらず安定して面白い.

でも,個人的には,期待がめちゃくちゃ高いぶん,物足りなさを感じないこともない. そういうことについてちょっと書きたい.

…….

らいか・デイズは,主人公の小学6年生の女の子である春菜 来華 (はるな らいか) と,同学年の男の子である竹田が,もうお前ら付き合っちゃえよ,と言いたくなるほど互いを意識しているんだけどなかなか進展しない様子,をメインに描く四コママンガ.

この作品に関しては,私はかなり思い入れが深い. とくに序盤,1巻から3~4巻あたりまでは,四コママンガと言わず,これまでに読んだすべてのマンガの中でも特別な作品に数えたいくらい気に入っている.

序盤のなにがいいって,来華と竹田は互いにとってどういう存在であるのか,とてもよく伝わってくるところがいい. どうして彼ら彼女らが互いに意識しあうようになったのかもよくわかる.

来華は,体が小さくておとなしく,手先がとても不器用な女の子なんだけど,ものすごく勉強ができて,組織をまとめるのもリーダーシップを発揮するのもめちゃくちゃうまい. そうしたことに関しては天才としかいいようがない子なんだよね.
でも,天才であるがゆえに,クラスや委員会や,果ては先生からまで,大人としてふるまうことを期待されてしまっている子でもある.

小学6年くらいの思春期の入り口のあたりって,大人と子供のはざかいにあって,ときには大人になりたいし,ときには子供として大人に甘えたい,そういう時期なんだと思う.
来華も,ほんとうは大人としての役割だけじゃなくて,子供でありたい時もあるはず. でも,なかなか友達の前や学校では子供としてふるまえない. 周囲の期待が,来華に子供としてふるまうことを許さない.
だから来華は,両親の前や祖父母の前では思いっきり子供になるんだよね.

ところが,竹田は来華を天才として特別視したりはしない.

竹田は来華ほどではないけれど相当に勉強ができる子で,しかも負けずぎらいなものだから,来華をライバル扱いし,つねに彼女につっかかっていく.
そうする一方,彼は家事が得意で手先が器用で,そうした面では来華ははるかに竹田にかなわない.

つまり,
竹田にとって来華はいろいろな意味でプライドを刺激する存在で,
来華にとって竹田は自分を小学六年生としてみてくれる数少ない存在なんだよね.

これが,二人にとって互いを意識するきっかけになっている. たぶんね.

…….

四コママンガだと,「天才だけどドジっ子」とか「ガリ勉で負けず嫌い」とか単なる役割だけでキャラクターが描かれる作品も多いように思う. でも,らいか・デイズでは,彼ら彼女らの背景にどういう物語があって,それゆえこの立場でこういう考え方や感じ方をする,などということまできちんと分かるように描かれている. そういうところがすごく好き.

こういう描き方は,来華や竹田だけでなく,まわりの友達や先生,両親などなどにも及んでいく.
序盤以降のらいか・デイズは,基本的には来華や竹田の関係はほとんどそのままで,かわりに そのまわりの人々の物語が主に描かれている.

私が特に好きなのは,来華や竹田と並ぶくらい優秀で,それゆえ来華みたいな疎外感を味わいがちな蒔奈の物語. 彼女にどういう背景があるのか,そしてそれゆえにどういう恋や友達づきあいをしていくのか. 彼女と彼女をとりまく人々の物語は素晴らしい.

…….

でもね. やっぱり個人的には,序盤以降,来華と竹田の関係がほとんどそのまま据え置かれていることがちょっと残念だ.
物語が二人だけでなく周囲に,外へ外へと広がっていくのもいいが,先へ先へと進んでいくのも見たい.
もしかしたら,先へ先へと進んだら,私たちが望まないような展開になってしまうかもしれない. でも,それはそれで仕方がない. 私はそれでもこの二人の,そして周りの人たちの行く先が見たいのだ.

…….

ちなみに表紙絵は4巻が一番好き.


パジャマ姿で物思いにふける来華. 彼女は景色を眺めたりしているときなど,たまにこういう表情をみせてくれる. こういう景色や背景と一体になってしまったかのような表情,私はほんとうに好きなんだよねー.

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by LIBlog | 2010-06-20 19:23 | マンガ・本

アイマスクエスト復活と聞いて

アイマスクエストの連載が再開されるようだ!

【閣下列伝】アイマスクエストⅣ <告知>‐ニコニコ動画(9)

【閣下列伝】アイマスクエストⅣ <告知>

いや,うん,ぜったい再開されるはずだ,と信じてはいたんだ.

だって,これだけの物語作家なんだよ. それが,燃えつきたというわけでも,出しつくしたというわけでもなかったんだから. そりゃ,また語りだしてくれるだろう,と.

それでも,その日が来ると,それはやっぱり嬉しくて, そして,感謝せずにはいられないわけです.

…….

そんなわけで,さっそくもう一度シリーズをめぐることに.
プロローグ
第一章
第一章外伝
→ちょっと飛んで第六章途中まで見た (いや,もちろん六章が終わったら二章にまた戻るつもり. なんというか一章→六章という流れで見たかったわけで).

うん,面白い! あらためて思う. アイマスクエストは最高だ.

…….

そうそう,ここんところ「まおゆう」魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」など橙乃ままれさん関連の検索ワードでこちらにいらっしゃる方も多いが,まおゆうの次にアイマスクエストをご覧になってみてはどうだろう. 世界観はドラゴンクエストで似たような感じだし,物語のダイナミズムは「まおゆう」に決して劣らない. ものすごい勢いで人が変わり,世界が変わっていく,めくるめく物語体験を味わうことができるはずだ.

【アイドルマスター】<閣下列伝>-プロローグ-‐ニコニコ動画(9)

【アイドルマスター】<閣下列伝>-プロローグ-

ニコニコ動画の視聴には登録が必要です(こちらから.無料です).

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by LIBlog | 2010-06-19 00:49 | 動画サイト関連

物語の「主語」が変われば,物語の世界も変わる.……かも.

ぷよm@s part19の反応を受けて思ったこと.

いつも ぷよm@sの新作を見たあとはネットで感想を読むのだが,今回はことのほか,同じ物語のべつの受け取り方について印象に残った.

以下,格納します.

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by LIBlog | 2010-06-16 13:03 | ねっとさーふぃん

ぷよm@s part19

ぷよm@s, part19が来ていた!

【ファイヤー】ぷよm@s part19【やったなー】‐ニコニコ動画(9)

【ファイヤー】ぷよm@s part19【やったなー】

物語が,動き出しそうだ. そんな気配が漂っている. たしかにぷよm@sは今までも死ぬほど面白かった. しかし実のところ,本番はこれからなのかもしれない.

――――――――――――――――――――――――
ぷよm@sってなに?という方には,こちらの紹介記事がおすすめです.
ぷよm@sとは (プヨマスとは) - ニコニコ大百科
ドラマ風ゲームプレイ動画「ぷよm@s」が熱い! - 未来私考
「ぶら樽、好きなim@s架空戦記作品について語る」の巻 その1 ぷよm@s - 【FF11】ぶらり樽赤ソロの旅【マビノギ】
君のハートにクー・デ・グラ!  『架空戦記』03 「ぷよm@s」

僭越ながら,拙記事もよろしければ.
検索エンジンからおいでの方に「ぷよm@s」を紹介してみる

本編はこちらから.
マイリスト ぷよm@s‐ニコニコ動画(9)

こちらは番外編含む時系列順マイリスト.
マイリスト ぷよm@sシリーズ統合マイリスト‐ニコニコ動画(9)

ニコニコ動画の視聴には登録が必要です(こちらから.無料です).

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以下,part19の感想. 格納します.

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by LIBlog | 2010-06-16 00:02 | 動画サイト関連

今日のタイプウェル

今日のタイピング練習.

タイプウェル国語R 
基本常用語,43.365秒 XE ミス9回 平均9.22打/秒
慣用句・ことわざ,46.113秒 XG ミス3回 平均8.67打/秒

タイプウェル英単語
基本英単語1500,52.117秒 XH ミス16回 平均7.67打/秒
拡張基本英単語Q-Z 57.292秒 XJ ミス21回 平均6.98打/秒

英単語のミス数が減らない. 指が動く範囲がローマ字よりも広いからなあ.

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by LIBlog | 2010-06-15 20:14 | 雑記