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球場ラヴァーズ

石田敦子先生の「球場ラヴァーズ」を読んだ. すげー面白かった. いや連載中だから「面白い」と言うべきか.


広島カープファンの女性3人を主人公とした,野球マンガ……ではなく野球ファンマンガ.

今までこの人の作品は現代ものであれファンタジーであれ,自分には痛々しすぎたりしてなかなか入り込めなかったんだけど,この作品にはすんなり入れた. 入口がプロ野球(のファン)ということで,自分に馴染みやすかったのかもしれない.

入り口は親しみやすいけれど,読み始めてみるとけっこうエグい話ではある. しかし間口が広いせいか,その空気に押し潰されることなく読み進められて,そして各話終わりの方ではすごく燃えたり,救いがあったりする.

登場人物だれもが――特に主人公3人集の中の高校生の女の子と,OLのお姉さん (と呼ぶにはギリギリの年齢の独身女性) が特にそうなのだが――,どうしようもなく不条理で理不尽でやり場のない悲しい悔しい腹立たしい目に会ったりしている. そこまでいかなくても,みな心のどこかに不安を抱え劣等感にさいなまれながら日々を送っている.

だが球場でのひとときだけは,そんな苦しい悲しい嫌な思いを忘れて,愛する球団を,選手を力のかぎり応援するのだ. そこには少年少女の頃から少しも変わらぬまっすぐな思いだけがある. 日常のよどみはいつの間にか姿を消している.

そうして声援を送り選手たちに力を与えて,ファンも力をもらえるのだ. それが球場を愛し,球団を愛し,選手を愛し,ひたすら彼らに尽くす者たちだけが,球場から得ることができるものなのである. そしてまた,いつ果てるともしれない終わりのない不条理で理不尽な日常に戻っていくとき,その足取りはいくぶん軽くなっている. その顔は少しだけ上を向いている. ああ,素晴らしいなあ.

3巻発売,どうやら間近に迫っているようである. 楽しみ楽しみ.

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by LIBlog | 2011-05-10 22:11 | マンガ・本 | Comments(0)

「星は歌う」と「惑星のさみだれ」を読んだ

最近完結した,高屋奈月先生の「星は歌う」と,水上悟志先生の「惑星のさみだれ」を全巻まとめ読みした. 7時間くらいかかった. どちらもとても面白かった.

「星は歌う」は,しかしヒロインが可哀想すぎてゴメンナサイと頭を下げたくなってしまう. フルバのときも読みながら申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまっていた. ま,でもそのぶん,まあ最後の最後のホントに最後になって,良かったねという気持ちになれるんだけど.

「惑星のさみだれ」 (一発変換はさすがに無理か.「とある科学の超電磁砲」は一発変換してくれるんだが) は,最初はキャラクターになかなか共感できなかったけど,クライマックスの盛り上がりは完全にしかも全員に共感,というか感情移入しまくりで超感動してた.

最初,キャラクターに共感できなかったってのは,主人公についてもそうだし,ヒロインについてもそうだった. 地球を自らの手でぶち壊そうとするヒロイン,それに付き従う主人公. しかもほぼ初対面で意気投合(?)してるもんだから,読みながら頭の中にクエスチョンマークがいっぱい出てしまった.

のちに彼ら彼女らがどうしてそういう考えを持つに至ったのかについて,生い立ちの部分で説明がされるのだけど,これについても私自身はそういう育ち方をしなかったせいか,理解はできても共感するところまではいかなかった.

それよりも,むしろ志半ばで倒れる仲間たちや,合流時点ですでに大人な仲間たちに対しては共感ができた,というかカッコイイ! と思えた. 心の底から大人なわけではないけれど,子どもが見ているから大人として振舞わなきゃいけないだろ,という姿勢を,わざわざ言明することもなく自然にそうできている人たちがいたりするわけだからねえ. それはもうりっぱな大人としか言いようがないわけで. カッコイイよこいつら. 主人公やヒロインより.

……でも,クライマックスに至ってようやく,と言っていいだろうか,主人公とヒロインの素晴らしさに心が震えた. 彼女を止めるのはぼくしかいない,と立ち向かう彼には,私を止めてみろと彼に言い放つ彼女には,感情移入しまくりだった. だって,彼がどうしてそう思うのか,彼女がどうしてそう思うのかは,今度は私にも分かるから. 今までの戦いの過程すべてがあったから,彼や彼女は最初とは180度ひっくりかえった望みを抱くことになったという,そのことが手に取るようにわかるから. 私自身も,いっしょにその過程を見守ってきたから.

よかった,共感できないからと途中で読むのを止めたりせずに. 一気読みしてよかった. じつに素晴らしい作品だった.

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by LIBlog | 2011-05-06 20:28 | マンガ・本 | Comments(0)