「オレンジイエロー」「水色シネマ」

オレンジイエロー (乙 ひより)

水色シネマ (乙 ひより)

  

ひさしぶりに乙ひよりさんの新刊が出た. ずいぶんと新刊が出ないなー,と思っていたら二冊同時発売である. これはうれしい不意打ちだった. 「オレンジイエロー」は短編数本をおさめた作品集で,「水色シネマ」は一冊完結の中編. いやー,やっぱいいわー乙ひよりさんの作品は. もう大好き.

乙ひよりさんは百合を描く漫画家である. 百合ってのはあれだ,女の子が女の子を好きになるというアレ. 男女の恋愛ではなく女同士の恋愛を描く作品. たぶんこの人,ほとんどそれしか描いていないんじゃないかな. 私の知る限りでは.

普通に考えると,おそらく同性の恋愛というのは異性の恋愛とくらべて,本人たちが乗り越えなければいけない壁が高いだろう,と想像される. そしてまた,その壁の高さ,恋愛成就の困難さというのが,百合作品での物語の盛り上がるポイントのひとつになるんじゃないかな.

ところが,乙ひよりさんの作品の女の子たちは,びっくりするくらいアッサリとその壁を越えていく.

……いや,といっても何のためらいも葛藤もなく困難を乗り越えるわけではないんだけど. でも,深刻に思いつめたり,ドロドロな悩みの底にしずんでいったりはしない. まるでふつうの男女の間であるかのように,ひょっとしたらそれよりも軽がると,女の子同士が好きになり,くっつく. 何年も付き合い続けたり一緒に暮らしたりしていることが描かれることもある.

この「軽い」雰囲気って,乙ひよりさんの描くキャラクターみんなが漂わせているように感じる. みんな,あまり感情的になったり,すぐに泣いたり叫んだりはしない. どちらかというと何を考えているのか あまりよく分からなかったり,あるいはドストレートにまっっすぐ愛情を行動で示したり.

思うに,彼女たちは男前なのだ. そして私は男前な彼女達がすごく好きなのである. すごくかわいくて,でもすごくかっこいい この子たちが.
……って,「男前」って言い方は褒め言葉にならないかもしれないけど,他に適当な言葉が見つからないんだよなあ.

ところで私のお気に入りの子はというと,上のふたつ,つまり普段何を考えているのかよくわからないのだけど,愛情表現がドストレート,という二つを兼ね備えたキャラクターだ. たとえば「クローバー」だと,三女の美鳥のパートナーのボーイッシュな子とか,新刊「オレンジイエロー」の短編「恋の証明」に登場する斉藤さんとか. 好きだなー. でも彼女たちは男である私みたいなのには振り向いてくれないのだけど.

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by LIBlog | 2010-05-30 22:21 | マンガ・本
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