ぷよm@s part26 公開から一日たち,少しずつ興奮が落ち着いてきたので,あらためて感想をば.
いやー,今回はもうまぎれもない神回でしょう. え? 毎回そう言ってるって? う,いや,まあ,そうかもしれないですが,うーん,じゃあ今回は個人的神回ということで. だってもうホントにすばらしかったんだもん. そんなこんなを,格納先にネタバレ込みで (ムダに長く) 書いてみた. ぷよm@s part26では,とくに千早と律子のやりとりについて,私が見たかったもの全てを見せてくれたなあ,と思っていて,もう満足も満足,大満足. 温泉パラマストーナメント編,ここで終わり! と言われても納得するってくらい. まあ私以外のだれも納得しないだろうから,無茶な言い分だとは思うけど. なにに満足しているのかというと,それはやっぱり千早の「変化」だろうなあ,と思う. その「変化」は,これまでにも何度となく描かれてきたものではあるんだけど,律子さんに対する口調の変化として描かれたいま,とても強い説得力をもって響いたなあ,と思うんだよね. 今までに描かれてきた千早の「変化」というのがどういうものだったかというと,たとえばその最初の兆候は,part11の終わりの方の美希との対戦前の独白に見られる. (……どうして? 対美希戦の勝ち負けは,小鳥さんを倒してアイドル(歌手)デビュー,という千早のそもそもの目的からすれば,さほど重要なものではないはず. にも関わらず,千早は負けたくないと思っているんだよね. なぜかというと,五連鎖は強いというプロデューサーの言葉の正しさを証明したいから. でも,それだって別に当初の目的とは関係ないよね. じゃあ,なぜそれを千早は証明したいのだろう? 今回,part26冒頭で千早がいだく疑問も,これと同じだろう. なぜ思わず (自分の「目的」にとって不利になるような条件を賭けて) あんな提案をしてしまったのか? その疑問に,千早は自らこたえる. プロデューサーの教えが劣っているとは思われたくないと. じゃあ,なぜそう思われたくないのか. おそらくそれは,第二部でじっくり描かれたP宅での一カ月に及ぶ特訓. あの時間が千早にとってとても豊饒なものだったからだろう. 最初からそれが大事だったのではなく,あの時間そのものが,あの時間を大事なものにしたのだと思う. だれかを信頼する. その信頼を受けた者が全力でその信頼にこたえる. それをまた全力でうけとめる. そうした過程のすべてが,千早にとってとても豊かで貴重なものであり,だからこそ それを守りたいと思うようになったのだ. part14で,揺れない強さを見せつける千早を見てPは思う. 俺に対する信頼,たかがそれだけのことで,これほどの強さが出せるものなのか? と. この疑問に対する答えは,美希戦,律子戦に全力で挑んだ理由と,本質的には同じものだろう. Pにとっては 「たかがそれだけ」 のことだったかもしれないそれは,おそらく千早がはじめて経験する,絶対的な信頼関係だったのではないだろうか. Pにとってのそれと千早にとってのそれは,重みがまるで違うものだったのだ. これまでのシリーズを通して,事務所のアイドルたちと千早が絡む描写はほとんどなかった. たわいもない会話を交わして笑いあったりするシーンを,少なくとも私は思い出すことができない. おそらく第二部までの千早は,そうした時間をくだらないものだと思っていたことだろう. すべては歌のために.それ以外の時間などは無駄であり無意味. 実際,それが千早の実感だったのだろうと思う. part8で,Pとの特訓を始める前に千早は言い放つ.小鳥さんデビューという目的がなければぷよぷよをやるつもりはない,ゲームなんて時間の無駄だと. いやー,いかにも千早らしい ものの言い方だ. それに対してPは言う. もっとみんなみたいに気楽にゲームを楽しんでほしいと. あのPの言葉の大事さが,ようやく私にもわかってきた. みんなと気楽にゲームをする時間というのは,じつはとても貴重で,豊かで,大切なものだったのだ. 亜美真美やあずささんや伊織や,ほかの多くのアイドルたちが始めから当たり前のように過ごしてきた,楽しくみんなでゲームをして遊ぶあの時間. なんの意味もない,なんの役にも立たないはずの勝敗,ランキングの上下,そしてゲームをプレイすること,それ自体. それにこだわり全力で戦う時間. その豊かさを,千早は知らなかった. 無意味なものに没入する時間に,価値を見出すことはなかった. それは,つらい環境に置かれ,歌に――そこから逃げ出すための唯一の手段に――,ただそれだけにすがるしかなかった千早にとって,やむを得ないことだったのかもしれない. 千早自身は,はじめは小鳥さんを倒すために必要十分なぷよぷよの実力だけを得ようとしていた. それは最終的な目的が歌だけにあったからだ. そのためにPと特訓を重ね,美希,小鳥さん,雪歩,律子さんと全力で戦ってきた. しかしそうすることで千早が手に入れたのは,ぷよぷよの実力だけ,ではなかったのだ. そうやって全力でP,美希,小鳥さん,雪歩,律子さんにぶつかっていって,彼ら彼女らも全力で千早に応えた,その経験が千早に与えたものがある. それは,その経験そのものの価値や素晴らしさ. それを見つける千早こそが,私が見たかったものだったんだよね. それをしみじみと感じさせてくれたのが,今回の千早の口調の変化だったわけだ. いや,まあそれは賭けの結果なんだけど,でもあの距離感の縮まり方はやっぱりとっても良かったわけで. それまで歌のためには不要なものと切り捨ててきた,周囲の人達とのなんでもないやりとり. それ自体が価値にあふれたものだったということ.
千早の強さは,「揺れない」強さだと言われることが多い. 律子さんは,それが自分に決定的に欠けていたものだと語った. 足りなかったのはぷよぷよの実力ではなく,想定外のできごとに心を揺らさない強さなのだと. 千早のその強さはどこから来ているのか. part26を見るまで,千早はそれしかすがりつくものがなかったからだ,という見方が私にはぬぐえなかった. 千早には歌のほかに何もないから,その夢だけに,そしてそのための手段だけに頼った,だから揺らがなかったのだと. 揺らごうにも揺らぐ先などなかったのだと. でもそれは,(幸いなことに) 間違いだったのかもしれない. そうではなくて,千早が揺らがなかったのは,Pとの特訓が全力で本気のものだったからだろう. あそこで交わされた信頼が,二人の結びつきが,本気で全力で本物だったから. それが頼るに値するものだったからなのだ. それが千早の根っこになり,揺らがない強さのもとになった. そうでなければ,千早はもっと脆かったにちがいない. 千早は強いよ. 揺らがないその根っこにあるものが,あの圧倒的な特訓と信頼関係にあるんだから. そして彼女はいまや,自分だけのために戦っているんじゃないんだからね. ……. まあそうはいっても,千早は最強! 並び立つものなし! とまで言うつもりはない. ぷよぷよの実力はまだまだだろうし,なによりあの予告編の伏線はまだ消化されてないわけで,まだ待ち受けているものはあるわけでね. でも,たとえそうだとしても,彼女がpart26で見せつけた強さに,私はもうなんの疑問もいだかないのだ. それを乗り越えられない千早じゃないと,そう思わずにはいられないのだ. ……. …………今回律子さんも伊織も大活躍だったのに,やっぱり自分は千早が好きなんだなーと,ここまで書いて改めて思ったのであった. あ,あと,この見方は,ぶら樽さんの記事と,Ustでのぷよm@sラジオ (鱈Pと猫先輩のではなく,ぷよm@sファンの方々によるもの) の影響を大きく受けたものです. というより,そこから学んだ,それそのものの見方ですね. ご興味がある方はリンクからたどってみてください. どちらもすばらしいです. 掛け値なしに.
by LIBlog
| 2011-10-10 19:15
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