2010年 05月 04日 ( 1 )

マンモスのタンパク質は寒冷地仕様だった

マンモスのタンパク質の性質を調べたというニュースが出てた. おもしろいことするなあ.

Resurrected mammoth blood very cool | e! Science News

元論文は Nature Genetics の AOP で見られる. 有料だけど.

シベリアに住んでいた,およそ四万年前のマンモスからDNAサンプルが採取され,ヘモグロビンの塩基配列が決定された.

で,とうぜん分子系統樹をつくったりしているのだが,この話はそこからがすごい. 彼らはその塩基配列をもとにマンモスのヘモグロビンタンパクをつくりだし,生化学的な解析を行い,さらに三次元立体構造のモデリングをしている. 論文によると,マンモスのヘモグロビンは寒冷地でも酸素を供給できるような特徴を備えていたという.

つまりこういうことだ. ヘモグロビンと酸素の結合は,温度が下がれば下がるほど強くなる. すなわち離れにくくなる. これは多くの酸素を必要とする筋肉などは運動により温度が上がっていることが多いと考えれば合理的な性質だといえる. しかしこれは寒冷地では逆効果になるはずだ. なぜなら四肢などの部分ではかえって温度が低くなるからである. さてマンモス型のヘモグロビンでは,アジアゾウのヘモグロビンと比較して,温度が低下してもヘモグロビンと酸素の結合が強くはならない. これは,おおざっぱに言うと,マンモスのヘモグロビンは低温度下では塩化物イオンなどが酸素のかわりに結合しやすくなる (ような構造だ) からである,という話だ.

はるか昔に絶滅した生き物の性質を,いま生きている生物と同じように解析できるというのは面白いな. ジュラシックパーク的アプローチで,恐竜の特質そのものに迫ることが ひょっとしたらできるかもしれないね. 恐竜そのものを復活させることは不可能だと思うけど.

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by LIBlog | 2010-05-04 17:58 | さいえんす関連